研究課題/領域番号 |
23590580
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮田 靖志 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (50325875)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 利益相反 / 製薬企業 / プロフェッショナリズム / 医学生 / 研修医 / 医学教育 |
研究概要 |
共同研究者と2回のミーティング、メールでの頻回のやり取りを行い、アンケート内容を作成した。その後、全国80大学の医学部にアンケート調査の依頼を行い、41大学より協力の回答を得た。これに基づき、協力大学にアンケートを送付し、各大学の教務日程に準じて各大学でアンケート調査を実施中である。H24年3月31日の時点で16大学で調査が既に行われ、その後も他大学にて調査が進行中である。現在までの回収結果の簡易分析によると、臨床実習前の医学生においても製薬企業との何らかの関係を持っているものが多数存在していることがわかった。また、この関係性は臨床実習期間中の5年生以上になるとさらに頻度が高まる傾向にある。また、大学間の格差も大きいように思われる。本調査はH24年8月末までの実施を予定しており、最終結果を本年度中にまとめる予定である。また、全国の臨床研修病院に対するアンケート調査について、共同研究者で会議を持ち、調査実施の手順、アンケート内容のブラッシュアップを図り、最終的なアンケート内容、実施計画がほぼか完了した。本調査はH24年6月頃に実施することとなっている。医学生、研修医と製薬企業との関係性について明らかにした本邦での調査研究はなく、本結果(特に、医学生と製薬企業との関係)はプレリミナリーなものながら、医学生と製薬企業の密接な関係を明らかにしつつあり、医学教育に関わる教員にとっては大きなインパクトを与えるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度はアンケートの原案作成とプレリミナリー調査を行うことを計画していた。アンケート原案は研究主任者が先行研究で臨床医を対象に実施した際に使用したものを元に、共同研究者で学生用に改善した。この内容について特定の学生にプレリミナリー調査を実施し、概ね妥当な内容であることを確認し、一部を修正した後に最終稿とした。これらが順調に行われたため、H24年度に実施を予定していた本調査を開始することとした。全国の80大学医学部に調査協力依頼を行い41大学から協力の回答を得た。41大学にそれぞれ3学年分(4,5,6年生)のアンケート票を郵送し、各大学で実施可能な時期に調査してもらうよう依頼している。現在のところ既に16大学、20学年で調査が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の全国の大学医学部のアンケート調査をH24年8月末までに終了する予定である。すべての調査結果が回収された後、データ分析を年内に実施し、共同研究者と議論する予定である。分析は、臨床実習前と臨床実習後の違い、大学間格差に焦点を当てる。またこれらと並行して、近年の同様研究についての論文検索を実施し、特に米国での医学教育における利益相反の状況の知識をアップデートし、調査結果の考察の参考とするよう計画している。論文作成は今年度中に行い、これと並行して調査結果と米国での状況をもとに、製薬企業と医学生の適切な関係性に関する議論の場を設けることを計画している。これを元に、H25年度の医学教育学会では本テーマでシンポジウムを開催することを計画し、全国の医学部でこのテーマの議論が高まることを促進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)全国の大学医学部からのアンケート結果回収、解析、論文作成。(2)全国の臨床研修病院へのアンケート調査実施。本調査を開始する。このため、各病院(およそ400)の担当者に調査票、リマインダー、等を郵送するため、その郵送費、印刷費に研究費を使用する予定。また、データの保存、分析のためパーソナルコンピューターを購入する。(3)医学生、研修医がなぜ製薬企業との関係を持とうとするのか、に関する質的研究を実施するため、全国の任意の病院で対象者にインタビューを予定している。このインタビューに赴くための旅費に研究費を使用する。質的研究のためのインタビュー調査の準備が整わなかったため未使用額が生じた。次年度にはインタビュー調査が実施できるよう調整がついているので、未使用額を含めた次年度の研究費でこの調査を勧めていく予定である。
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