平成25年度は、平成24年度に作成した医薬連携の臨床研究計画書に則り、介入研究を開始し1年間の観察期間を行った。 人口20万人規模の都市において、中核的役割を担う病床数500以上の総合病院の腎臓内科外来に通院する患者が利用する院外薬局の聞き取り調査を行った結果、院外薬局の利用状況から最も利用されている地区薬剤師会を選択し、協力を呼びかけ応諾いただいた。 臨床研究では主要評価項目を服薬アドヒアランスとした。これは薬剤師会と討議を重ねた結果、慢性腎臓病患者が多種類の薬剤を正確に認識でき服薬できているかアドヒアランスを評価することで、自覚症状に乏しい慢性腎臓病患者の腎臓病への意識の高さを測る指標になると考えたためである。対象患者を従来通り服薬指導を行う従来指導群と、前年度でニーズが高いとされた慢性腎臓病の原疾患名、腎機能(推算GFR,血清Cr)や血圧、検査データを情報提供に組み入れる強化指導群の2群を設定し、外来通院している慢性腎臓病患者を無作為に2群に振り分け比較検証を行うこととした。情報提供のツールはお薬手帳を活用し、医療情報をお薬手帳へ記載することで、患者本人が医療情報を管理し院外薬局へ提示する方法とした。 本研究の参加に同意された慢性腎臓病患者42名を登録した。患者はそれぞれ従来指導群21名と強化指導群21名の2群にランダムに振り分け、1年間の観察期間を行った。両群において体成分分析を行い指導の参考とした。両群において調剤薬局では服薬アドヒアランス、お薬手帳の持参の有無、服薬指導にかかる時間の調査を依頼した。また強化指導群に対しては、CKD診療目標に準じて、患者の病態に併せて腎機能指標の意義、血圧、血糖、脂質の管理目標と薬剤の中から任意の項目について指導を行った。現在1年間のデータを集計し、解析を行っている。今後は本研究の成果をもとに、さらに大規模な研究を検討している。
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