研究課題
【目的】専門職連携教育(Interprofessional Education、以下IPE)は、チーム医療実践能力を修得させることを目的として、多くの医療・福祉系の学部・大学で実施されるようになってきている。しかしIPEの長期学習効果を検討した報告は少ない。本研究の目的は医学生の卒業前後の期間の専門職連携能力を複数の評価法を組み合わせて経年的に評価し、IPEの長期学習効果を評価するとともに、プログラムの有用性を検証することである。【方法】平成22年度に専門職連携能力評価尺度(Chiba Interprofessional Competency Scale、以下、CICS29)が研究代表者および連携研究者によって完成した。平成23年度に本学医学部6年生に対しCICS29とKISS-18の尺度を用いて調査を行った。これらはIPE導入以前の学生、すなわち臨床前教育としてIPEを経験していない学生でありこれを次年度以降の調査に対する対照群とした。平成24年度、25年度に本学医学部6年生に対し、同様にCICS29とKISS-18の尺度を用いて調査を行った。これらの学生はIPE導入初年度と2年目の学生であり、いずれも4年間の臨床前教育の一部としてIPEプログラムを修了して、5年生以降にクリニカル・クラークシップを行った学生である。【結果】平成24,25年度の6年生のスコアは、平成23年度の学生と比較して有意に高い結果であった。【考察】CICS29は臨床の現場において専門職連携実践の行動をはかる尺度である。IPEプログラムを修了した学生の方が高いスコアを獲得したということは、IPEプログラム修了後のクリニカル・クラークシップにおける臨床実践においてもより高い専門職連携能力を持つと考えられた。このことから臨床前教育としてのIPEは臨床実践においても有用であると考えられた。
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医療の質・安全学会誌
巻: 8 ページ: 235-238
日本内科学会雑誌
巻: 102 ページ: 1252-1258