研究課題/領域番号 |
23590587
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 緑 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (90597121)
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キーワード | インフォームド・コンセント / 出生コホート調査 / 疫学研究 |
研究概要 |
環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者リクルートは2年目を迎え、千葉県内の妊婦参加登録者は約4,200名となった。参加候補者への調査説明は、平成23年度に引き続き母子健康手帳交付窓口の職員(保健師)、協力医療機関の職員(医師、看護師、助産師、事務職員)、大学から派遣したリサーチコーディネーターが行っている。 平成23年度は、①自治体、医療機関職員への聞き取り調査、②医療機関職員へのアンケート、③派遣コーディネーターの定期報告、④参加者からの問い合わせ・クレーム対応記録、⑤説明を聞いた妊婦へのアンケートによりインフォームド・コンセント実施状況の調査を行い、参加者の関心と説明方法の問題点を評価した。 平成24年度は前年度の評価をもとに説明方法の改善を行った。また、23年度の手法による調査を継続するほか、エコチル調査に参加したすべての妊婦2,546名に対して自記式アンケート方式による説明内容理解度調査を実施し、1,726件の回答を得た(回答率67.8%)。この結果から、説明場所ごとの参加者の説明内容満足度および説明内容ごとの理解度を評価した。説明場所ごとの説明内容満足度は、母子手帳交付窓口での説明が最も低く、説明時間の制約や妊婦の疲労度が原因となっていると考えられた。説明内容ごとの理解度は、エコチル調査の目的、内容、個人情報の保護についての理解度が高く、データ保管期間や診療記録を調査に利用することについての理解度が低かった。医療機関職員と母子手帳交付窓口の保健師による説明では、説明を詳細に行うことは実質的に困難であるため、簡潔かつ分かりやすい説明手法を開発する必要性が認められた。 次年度では参加者の理解を深めるための説明手法の改善を図り、再度評価を行う。また、質の高いインフォームド・コンセント実施方法の構築について総括を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、エコチル調査初年度として参加者リクルート実施体制の構築が急務であり、説明担当者側の実施状況調査はおおむね進展しているものの、参加者側への調査が予備的な調査にとどまり、説明内容についての参加者の理解度等に関する調査は実施できなかった。 平成24年度は、参加者の理解度調査を行い評価を行ったが、詳細な解析は不十分である。また、この調査結果に基づく、インフォームド・コンセント体制の改善には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施した調査結果に基づき、インフォームド・コンセント実施手法の改善を図る。また、24年度調査後もエコチル調査参加者が増え続けている参加者を対象として、理解度を正確に把握するための質問方法を立案し、自記式質問票調査を行う。 調査説明実施者に対しても、アンケート調査を行い、説明者側の観点から実施状況の評価を行う。 これらの結果をもとに、大規模出生コホート調査のインフォームド・コンセント実施体制についての総括を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、参加者に対するアンケート調査を行ったが、成果発表には至らなかった。また、医療機関等の調査協力機関訪問にかかる交通費はエコチル調査の費用から支払ったため、研究費からの充当はなかった。 次年度は、参加者を対象とした調査および調査協力機関である自治体・医療機関の説明担当者を対象とした調査、成果報告、結果の解析にかかる費用、ならびに成果発表にかかる経費として研究費を使用する計画である。
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