研究課題/領域番号 |
23590594
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
高橋 健太郎 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (20163256)
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研究分担者 |
越田 繁樹 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (70372547)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 地域周産期医療システム / 病診連携 / 新生児死亡 / 後期死産死亡 |
研究概要 |
滋賀県周産期医療体制施設調査を行った結果、I. 周産期医療体制については地域周産期母子医療センター2施設の常勤産科医師数は県内施設平均以下であり、かつ新生児専任医師不在であるので常勤産科医師の補充および小児科業務を兼務しない新生児専任医師の補充が必要と考える。次に、II 医療連携について、県内NICU病床は必要病床数40床に対して22床不足しており、県内NICU病床の増床が早急に必要である。また、湖東医療圏の医療圏外分娩割合が最も高いこと併せて考えると、湖北・東近江医療圏にある地域周産期母子医療センター2施設の拡充が適切と考える。III 産科医療内容については、早産は病院で行われている割合が高く、正常分娩は一般診療所で、ハイリスク分娩は病院での機能分担がほぼ適切に行われていると推察される。IV. 新生児医療内容については、超低出生体重児および極低出生体重児の管理数はは総合周産期医療センターが最も多いことから、ハイリスク児は妊娠管理段階で適切に集約化されていると考えられる。 後期死産症例および新生児死亡症例の検討を行った結果、1.診療所の医師が妊婦の訴えを安易に考え放置したことや母体の既往歴を安易に考えた診療の基本事項の不注意が、結果的に母体・新生児の予後不良例を生じさせるので、医師は妊婦の訴えを真摯に検討し最善の治療を考えることや妊娠中の注意深い既往歴の把握が必要である。また、搬送や対処の遅れも問題であり、周産期医療スタッフの再教育が早急に必要である。2.患者側の問題として、正しい産科医療の知識がないので、受診するという行為が遅れ、結果的に母児共に予後不良例となったものが多く存在するので、「正しい妊娠・分娩の知識」の啓発が必須であり、平成23年度は2回講演を行った。 以上のことを踏まえ、滋賀県における新たな4つの産科医療圏を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「新生児死亡および後期死産症例の回避可能性の検討」の研究を行う上で、どうしても必要であった、新生児死亡および後期死産症例の滋賀県下の施設からの調査票の回収に遅れが生じていることと、死亡小票の開示の許可を厚生労働省に手続きする上での遅れが生じたために、平成23年度から開始予定であった「新生児死亡および後期死産症例の事例検証委員会の開催が遅れ、24年度からの開催となったため。
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今後の研究の推進方策 |
新生児専任医師が不在の地域周産期医療センターからの必要要請に応じて、滋賀医科大学NICUの新生児専任医師を派遣するシステムを活動させながら、今ある新生児専任医師、施設を有効に利用でき、新生児医療レベルの向上とマンパワー不足の解消が可能であったかどうかを検証する。また、引き続き新生児および母体の予後不良症例検討会を開催するとともに、検討会で得られたコンセンサスが、その後の医療にどのように生かされているかを検討する。また、このように正確な新しい情報を開業医に還元していくことで、今後、滋賀県においても周産期医療レベルの向上、新生児死亡例を減少させることが大いに期待できる。今後、数年に渡るこのシステム構築により得られた情報を集積・解析することにより、診療所と病院との継ぎ目のない滋賀県独自の病診連携システムが期待できる。さらに、平成19年1月1日~平成23年12月31日までの5年間に滋賀県内で発生した新生児死亡および後期死産症例の詳細な調査結果を、厚生労働省の開示の許可を得た死亡小票を参考に詳細に分析する。これらの後方視的検討は共通の視点で検証できるように事例検証委員会(メンバーは現存する実際の医療現場で中心的に働いている産科医、新生児科医、小児科医からなる滋賀県周産期医療協議会検討部会委員)を設置し、本人に起因するもの、環境的側面、医療環境等について個々の事例の検証を行い、新生児死亡および後期死産症例の回避の可能性を検討する。 一方、滋賀県では非常に少ない産科医、産科施設と非常に少ないNICU専任医師という限られた医療資源に基づき、周産期医療がかろうじて成り立っていることを滋賀県民に周知させ、医療施設、医師の負担軽減につながり、限られた医療資源の有効利用につながり医療崩壊を食い止めることができる。そのために「県民の産科医療に対する意識改革」を推進さすための啓発講演を積極的に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
「新生児死亡および後期死産症例の回避可能性の検討」の研究を行ううえで、どうしても必要であった、新生児死亡および後期死産症例の滋賀県下の施設からの調査票の回収に遅れが生じていることと、死亡小票の開示の許可を厚生労働省に手続きする上での遅れが生じたために、平成23年度から開始予定であった「新生児死亡および後期死産症例の事例検証委員会の開催が遅れ、24年度からの開催となったために、平成23年度に使用予定であった研究費の大半が持ち越しとなった。平成24年度は平成23年度研究計画分も実施予定であるので、当初の計画通り、平成24年度の研究費使用は平成23年度分と平成24年度分の予定である。
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