本研究は生体臓器移植(以下、生体移植)における生体ドナーの位置づけを検討することを目的に、特に生体ドナーの負担の大きい生体肝移植に着目し、日本においてどのように適応を広げ普及したのか、普及過程を分析整理した。生体肝移植は緊急性から実績を積み重ね、ほとんど社会的に議論されることなく今日まで順次移植適応を広げてきた。このため本研究課題において実施した認識調査では、生体臓器移植は原則親族間で行われていることについて75.0%が認識していなかった。生体ドナーの位置づけを医療さらには社会の中で明確にし、生体移植の適応の範囲、ならびに運用に係る諸規制について改めて社会的な議論を経る必要があると考える。
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