研究課題/領域番号 |
23590596
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
関 進 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80422955)
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研究分担者 |
森本 剛 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30378640)
作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60349587)
前田 祐子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30378749)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 医療面接 / 有害事象 / メディア処理 / 対話 / 非言語 |
研究実績の概要 |
今年度は有害事象説明実習について特に重点的に調べた.我々は有害事象説明実習では学習者の感じる「困惑」が学習過程で重要な役割を果たす,すなわち困惑は行動を変えるための模索状態と考えている.これを調べるために学習者に対して質問紙で「困惑」,「説明の十分性」,「聞き手の納得性」,「謝罪の必要性」,「謝罪の表出」,「誠意の伝達」,「具体的説明」,「全体の完成度」について,特に「困惑」について着目してその他の項目とのSpearmanの相関係数の計算を行った.「全体の完成度」は5%で有意に負の相関-0.44(P=0.002)があったが,その他の項目については5%での相関は見られなかった.個別の項目では「説明の十分性」について有意ではなかったが弱い負の相関-0.29(P=0.052)が見られた.しかし「具体的説明」はほとんど相関がない0.09(P=0.53)ことから,「説明の十分性」は単に事実を伝えることのみを意味しないと思われる. また,実習のセッションのうち一部については説明している様子をビデオで撮影しており,その映像を見ながらマニュアルで非言語的な振る舞いの特徴量である発話している時間,相手に顔を向けている時間,頷きの回数を計測し,質問紙での「困惑」の評価との比較を行った.その結果「相手に顔を向けている時間」のみが有意に強い相関があった.このことは困惑が大きいほど相手から情報を取得しようとしていると考えられる.以前の成果で医療面接実習と比較して有害事象説明実習では「相手に顔を向けている時間」が有意に長くなる結果が得られていたが,そこで検討していた仮説である,相手が受容したかどうか,あるいはどんな感情を抱いたかなどの情報を取得するために頻繁に相手の顔を見ている可能性を裏付ける結果となった.このことは,困惑は行動を変えるために模索している状態であるとの考えとの整合性はよい.
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