研究課題/領域番号 |
23590597
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
花岡 澄代 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (10437486)
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研究分担者 |
池上 峰子 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (80379453)
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
前田 英一 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (70322196)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (90362780)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 情報工学 / 臨床 / 触地図 |
研究概要 |
視覚障害者のための触地図は、歩行訓練のルートや、出張・旅行で初めて訪れる地域について事前に知るのに有効と言われている。これは、初めて通院する病院などの建物内についても同様である。そこで本研究は、視覚障害を有する患者が病院内で安全・確実な移動や、トイレの場所の把握、入院中の諸検査の移動や災害等での避難経路を確実に把握可能にする触地図を、視覚障害者が自ら作成可能にすることを目的として研究に取り組んでいる。 これまでに、病院内の地図データを本申請予算で購入したドロー系描画ソフトを用いて作成した。また、院内地図に埋め込む病院内のランドマークについて、視覚障害者に対してアンケート調査を行った。その結果、「病院の受付」「各診療科の受付」「検査部」「トイレ」「エレベーター」「避難経路」「病棟の病室」「病棟のナースステーション」等が候補であることが見出された。加えて、本学附属病院内部の患者が立ち入り可能な区域の全地図の電子データ化にも取り組んだ。 既に稼動している触地図生成プログラムを、新潟大学の渡辺博士(連携研究者)の協力で専用計算機を導入せずに利用できるようにした。また、病院内地図データからの触地図作成に合致するようにプログラムの修正に向けて、プログラムのソースコードの改変作業に向けて、調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病院内の電子地図データをベクトルデータとして作成すべく作業を進めている。視覚障害者が必要とする病院内のランドマーク候補も収集したが、更に調査を継続し、次年度末には最終的な仕様を決定する予定である。加えて、患者が立ち入り可能な区域の全地図の電子データ化も先取りして開始しており順調に進展中である。既に稼動している触地図生成プログラムも、新潟大学の渡辺博士(連携研究者)の協力で専用計算機を導入せずに利用できるように体制を整え、動作確認も行うなど順調に研究を進めている。電子地図データからの触地図作成プログラムの改修については、プログラムの修正作業向けた準備と調整を行った。 以上のごとく本研究は概ね順調に進展しており、論文4本と学会発表11回の報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、地図に載せるランドマークについての調査を継続する。また、ランドマーク情報の表示に用いる図形などの、視覚障害者向け病院内の建物データ(地図)の仕様を決定する。また、本学附属病院内部の患者が立ち入り可能な区域の電子データを完成させる。その後、可能なところからランドマーク情報を取り入れた電子地図データ作成を開始する。また、前年度に引き続き触地図作成プログラムの修正も行う。なお、より高性能なサーバを手配するために初年度のサーバ購入を見送り、当該の金額を繰り越した。その理由は、計算機の進歩は日進月歩なので購入時期を少し遅らせ、新しく高速なCPUを搭載したサーバを当初よりも安価に購入できるためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に決定した仕様を基にして、病院内の電子地図データに取り組む。完成した触地図データを評価し、その評価結果から公共施設内部の電子地図の規格を決定する。また、サーバ用マシンを購入してシステム構築する予定である。・作成した病院内の触地図の評価[担当:池上、花岡、前田、一瀬]作成した病院内の触地図は、高岡博士の研究室に所属の社会人大学院生(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 神戸視力障害センター・厚生労働教官)の小田剛氏(研究協力者)の協力により視覚障害者が評価する。評価の結果、明らかになった問題点(特にランドマーク表示に使う図形の選択)を研究分担者の池上と共同で修正し、院内地図の電子データを完成させる。仮に触地図作成プログラムの改変が必要になった場合は、高岡博士と渡辺博士の協力を得て速やかに必要な機能を実装する。・公共施設内部の電子地図規格の決定[担当:花岡、高岡]視覚障害者の評価に基づき、建物内部の地図に必須のランドマークの情報と表示図形(仕様)を決定する。本研究は病院での取り組みを中心とするが、可能であれば図書館、行政庁舎の別にデータとして持つべき情報を決定し、建物内地図の電子データ仕様も決定する。以上の研究成果を論文や学会発表、ホームページ等で発表する。以上の目的達成に向けて、研究費を執行する。
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