研究課題/領域番号 |
23590597
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
花岡 澄代 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (10437486)
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研究分担者 |
池上 峰子 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (80379453)
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
前田 英一 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (70322196)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (90362780)
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キーワード | 医療・福祉 / 情報工学 / 臨床 / 触地図 |
研究概要 |
視覚障害者のための触地図は、歩行訓練のルートや、出張・旅行で初めて訪れる地域について事前に知ることで、外出へのハードルを下げる等有用であると言われている。これは、初めて通院する病院などの建物内でも同様である。そこで、視覚障害者が病院内の自由な移動や、トイレ等の場所の把握、入院中の諸検査場所、災害等の時の避難経路を把握可能な建物内触地図を作成可能にすることを目標としている。 前年度に引き続き、地図に載せるランドマークについての調査を継続し、その情報の表示に用いる図形等の、視覚障害者向け病院内の建物データ(地図)の仕様決定に向けて研究に取り組んだ。本学附属病院内部で、患者が立ち入り可能な区域の電子化地図データ作成に取り組んだ。その結果、ランドマーク候補は前年度の調査結果と同様に「病院受付」「各診療科の受付」「検査部」「トイレ」「エレベーター」「避難経路」「病棟の病室」「病棟のナースステーション」であった。このうち、既に運用されている触地図生成システムtmacsで用いられている出発地点と目的地の表示図形を、病院受付および受信診療科に用いる方向で考えている。次に、電子化地図データを建物設計図から作成したが、幾つかの課題が明らかになった。最大の課題は、通路の表現を太い線にするのか2本の線で通路の幅を表現するのか、である。今後、駅構内や新幹線電車車内のトイレの触図の表現方法を調査し、両方の表現方法で試作した病院内触地図を視覚障害者の協力を得て評価する必要性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病院内の電子地図データを作成すべく作業を進めており、視覚障害者が必要とする病院内のランドマーク候補も収集を継続した。加えて、患者が立ち入り可能な区域の全地図の電子データ化も進展中である。研究進展の過程で、通路の表現を太い線にするのか2本の線で通路の幅を表現するのか、という鍵となる地図表現方法の重要性が分かった。このことを次年度に明らかにすることにより、より可用性の高い院内触地図の作成が可能になることが期待される。 以上の通り、本研究は概ね順調に進展中であり、論文4本と学会発表4回の研究報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に明らかになった問題点について、視覚障害者からの評価結果を基盤として、公共施設内部の電子地図の規格を決定する。なお、現在本院の増改築作業が進行中であり、部門や診療科の移転が行われつつある。よって、これまでに作成した院内触地図について、これに対応して院内触地図を刷新する必要が出てきている。 電子化地図データ作成に向けた最大の課題は、通路の表現を太い線にするのか2本の線で通路の幅を表現するのか、である。そこで、駅構内や新幹線電車車内のトイレの触図の表現方法を調査しする。また両方の表現方法で試作した病院内触地図を視覚障害者の協力を得て、見読性を評価する。評価の結果を用いて、院内地図の電子データを更新する。また、出発地点(病院受付)と目的の診療科以外のランドマークの重要性を、視覚障害者が知りたい情報を基準に順位付けを行い、割り振る記号を決定する。以上の結果から、院内触地図作成の規格を決定する。これから数年間、部門配置が大きく変わっていく予定である。そこで、現状の院内の配置に合わせて、重要性の高い外来棟を中心に院内の触地図(外来棟)を更新する。本研究成果は、論文や学会等で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、駅構内等のトイレの触図の表現方法の調査、院内地図の電子データ更新やランドマークの順位付けなどの研究補助のために研究支援者を雇用する。また、触図の試作や評価で必要となる消耗品を購入し、研究成果の発表・関連研究の情報収集のための旅費等で研究費を使用する予定である。
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