研究課題/領域番号 |
23590603
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
池田 正行 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10242215)
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研究分担者 |
嶋澤 るみ子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00411083)
戸高 浩司 九州大学, 大学病院, 特任准教授 (40398061)
横井 英人 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (50403788)
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キーワード | 新薬承認審査 / テキストマイニング / データマイニング / ドラッグ・ラグ |
研究概要 |
1.新薬承認審査ナレッジベースの構築とその応用:平成13年4月以降の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会・第二部会審議品目の審査報告書を精査し、構成した新薬承認審査ナレッジベースを用いて、以下の検討を行い、その成果を論文にて発表した。 1)適応外使用の問題を解決するため1999年に我が国で創設された、いわゆる公知申請制度(海外での十分なエビデンスがあれば、我が国で改めて臨床試験を行うことなく承認申請が可能)の実績を検討した。10年余りの間に承認された80品目のうち、合衆国あるいは英国で既承認のものは46品目にとどまり、いずれの国でも未承認の品目も23品目あった。公知申請では海外承認よりもエビデンスの蓄積が重視される。 2)医療・社会両面で影響が大きい医薬品であるワクチン承認の内外差とその原因を明らかにするため、医療保険制度が類似している英国で承認されている標準的ワクチン20品目について、承認状態・時期、接種率等を日英間で比較した結果、日本で承認されていたのは4品目のみだった。ワクチンギャップ短縮のためには、行政面ばかりでなく、一般市民のワクチンに対する認識の改善が必要である。 3)精神科領域の医薬品におけるドラッグラグを日米英で比較検討したところ、その差は審査期間によるものではなく、申請時期の差によるものであることが明らかとなった。 2.テキストマイニング手法の確立:平成24年度は、拡大同義語の正規語への統一化の処理や、感性分析に用いる判定パターンやルールの追加・修正を行い、分子標的薬の承認審査報告書における審査のポイント抽出とその解析を行った。その結果は2012年11月の医療情報学連合大会(鹿児島)にて発表した。来年度以降は、対象とする審査報告書の種類の種類を拡大して、分子標的薬とそれ以外の医薬品の審査報告書の際の承認審査報告書さらに検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.人員を含めた研究体制の整備が十分であったこと。2.独創的な研究手法が確立していたこと。3.研究対象が公開資料であるため、資料入手に時間を必要としなかったこと 。4.研究初年度に構築したナレッジベースが研究手法として大いに役立ったこと。以上の理由により、研究が当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画以上に研究が進展しているので、最終年度の研究計画を進め、得られた結果をとりまとめることに加えて、さらに市販後安全性規制について、日米欧三極の差も検討し、成果の発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の新薬承認審査状況を把握するために、米国・欧州規制当局の薬事データベース購入・更新に使用する計画である。
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