研究課題/領域番号 |
23590630
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
内海 美保 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (80552231)
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研究分担者 |
大西 弘高 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90401314)
山元 弘 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (50127312)
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キーワード | プログラム評価 / 実務実習 / 薬学教育 / 薬剤師教育 / 医療者教育 / 臨床研修 |
研究概要 |
2013年度は,実務実習の現状や経年的変化を明らかにするために,これまでに収集したデータについて分析及び年次比較を行った.評価指標には,学生の実習全般に関する振り返りや,薬剤師からの指導等に関する内容(全50問)から成る自記式調査票を用いた.調査対象は,実務実習を終えた5,6年次生(N=1,607)とし,有効回答N=1,410(男性n=588,女性n=822,平均年齢24.1±1.5歳)を得た. 得られた回答(6件法)について探索的因子分析を行い,因子負荷量0.35以上の項目を抽出した.結果,病院実習では,4因子「充実した学び(病院編)」,「実習施設側のサポート体制」,「大学側のサポート体制」,「患者との対話」(各々α=0.76,0.75,0.72,0.69),薬局実習では,4因子「充実した学び(薬局編)」,「大学側のサポート体制」,「学習計画」,「患者との対話」(各々α=0.74,0.75,0.70,0.72)が抽出された. 次に,これらの因子についてt検定(welch法)を行い,病院,薬局別に得られた4因子についての年次比較(各因子の下位尺度得点における平均値差の有意性)を行った.結果,病院実習では,すべての因子で有意差がみられた.特に,3因子「充実した学び(病院編)」,「実習施設側のサポート体制」,「大学側のサポート体制」について,0.1%水準で有意差が示されており,実習全体を通じて2012年度の実務実習の方が向上・改善していることが明らかになった.薬局実習では,「大学側のサポート体制」に有意差が示され(p<0.01),2012年度が高い評価であった.一方,その他の因子(「充実した学び(薬局編)」,「学習計画」,「患者との対話」)について有意差は示されなかった. 今後は,実務実習を構成する各要素のさらなる検討を行い,薬学教育や実務実習の発展に資する知見を得たいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実務実習を終えた5,6年次生に対する調査(結果)の解析は,概ね終了した.しかし,継続研究の実施(調査票の作成,データ分析等)に際して,その都度,各分野の専門家に依頼し,専門的知識の提供を求める予定であったが,専門家の業務の都合等で十分な検討時間が得られなかった. 今後,実施する項目として,(I)実務実習指導薬剤師養成ワークショップの効果検証,(II)実務実習指導薬剤師を対象とした自記式アンケート,(III)実務実習指導薬剤師を対象としたフォーカスグループインタビュー,(IV)臨床・企業の人事担当者を対象とした4年制薬剤師と6年制薬剤師の比較調査,がある.
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は,新たな専門家の協力を募り,現在,実施途上である実務実習指導薬剤師養成ワークショップの効果検証,実務実習指導薬剤師に対する調査,及び4年制薬剤師と6年制薬剤師の比較調査等を継続させ,学術発表を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケートの作成,及びデータ分析の助言を,その都度,各分野の専門家に依頼し,専門的知識の提供を求める予定であったが,専門家の業務の都合等で十分な検討時間が得られなかった. 次年度は,新たな専門家の協力を募り,現在,実施途上である実務実習指導薬剤師に対する調査,及び4年制薬剤師と6年制薬剤師の比較調査を継続させ,学術発表を行うこととし,未使用額はその経費に当てる予定である.
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