研究課題/領域番号 |
23590631
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
福永 真哉 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (00296188)
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研究分担者 |
鈴木 正浩 姫路獨協大学, 医療保健学部, 講師 (00434952)
中村 光 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80326420)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 摂食嚥下障害 / 要支援高齢者 / 嚥下予備能 / 認知機能 / 意欲 / 介護能力 / 介護負担感 / 舌筋力測定装置 |
研究概要 |
本研究の目的は、摂食嚥下障害が顕在化する前の日常生活において、自立した実用的な経口摂取が行えている在宅の要支援高齢者の嚥下予備能および認知機能、意欲を評価することで、家族の介護能力、介護負担感を把握、理解し、必要な予防的支援のあり方を検討することにある。本年度は、3ヵ所の通所デイケア・通所デイサービスセンターにおいて、明らかな摂食嚥下障害や認知機能障害を持たず、在宅において実用的な経口摂取を行っている要支援高齢者数の把握と基礎疾患名の有無など人口統計学的情報を把握するための予備調査を行なった。この予備調査の結果、通所デイケア・通所デイサービスセンターに通所中の全通所高齢者のうち、経口摂取を自立して行っていた要支援高齢者が平均30~40%で、そのうち、神経疾患や脳血管障害の既往のない対象者は30%程度であった。つまり、全通所者の平均9~12%程度が条件に適合し、本研究の対象者として想定された。並行して、本年度は舌筋力計を用い、正確に対象者の舌筋力を測定するための頭部を固定した舌筋力測定装置の製作を行った。予備実験として20歳代の健常者に対して、実施上の実用性の確認するための実証試験を行い、実用性と再現性、信頼性があることを確認した。これら予備調査と予備実験の結果をふまえ、得られた資料を引き続き解析し、摂食嚥下障害が生じる前の要支援高齢者の背景要因を把握すべく、対象通所高齢者とその家族を対象に、基本情報、病歴、日常生活動作、神経学的所見、認知機能、意欲などの神経心理学的評価、嚥下時に必要な口腔運動機能の評価、現在の摂食嚥下状況、家族の要支援高齢者の摂食嚥下状態に対する負担感を調査するプロトコールを作成している。本調査では、このプロトコールを実施し、摂食嚥下障害が生じる前段階の要支援高齢者の摂食嚥下機能の低下につながる要因について探求してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り研究施設に対する対象となる要支援高齢者の人数把握等の予備調査が終了し、舌圧を正確に測定するための舌筋力測定装置の製作を行うという当初の予定が達成された。その後、予備実験として20歳代の健常者に対して、実施上の実用性、再現性と問題点の確認のための実証実験を行い、現在、測定装置の調整を行っているところである。プロトコールのうち、家族の介護負担感の調査票の作成はやや遅延しているが、研究計画全体では、おおむね当初の予定通り、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、研究協力施設において介護保険サービスを受けている在宅の要支援高齢者と家族に対し、作成した評価プロトコールに従って、摂食嚥下機能評価、認知機能評価、意欲の評価と家族の介護能力・介護負担感の調査を実施し、摂食嚥下機能低下に関与する要因を分析する。この際に、摂食嚥下機能には脳機能の活性化が深く関与している可能性があるため、認知機能検査のみならず、一部の要支援高齢者に対しては、嚥下運動中の脳活動を近赤外線脳機能計測装置を用いて評価する予定である。そして最終年度には平成24年度の調査結果に基づき、要支援高齢者への摂食嚥下機能の維持・向上に向けた予防的訓練を実施し、その効果を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、立案申請した研究計画にそって本調査を実施するため、各研究協力施設にて実地調査を行うための旅費ならびに研究協力者との会議費用、情報収集費用、設備費としてデーター解析ソフトの購入費用や、前年度購入した近赤外線脳機能計測装置の測定項目追加のための改修更新の費用として主に使用してゆく予定である。
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