研究課題
「認知症のための医療サービス調査票(MSD-28)」を用いて、都内の一般診療所1877、全国の認知症疾患医療センター(地域型、基幹型)118および診療所型候補医療機関20の認知症対応力を評価したところ、1)認知症対応力向上研修の「受講医がいる診療所」は「受講医がいない診療所」よりも,かかりつけ医機能,鑑別診断機能,周辺症状外来対応機能,在宅医療機能,地域連携機能が高く,2)「認知症サポート医がいる診療所」は「受講医がいる診療所」よりも,上記の機能のすべてが高いが、鑑別診断,周辺症状外来対応,地域連携機能の得点は中程度であること、3)診療所型候補医療機関は,入院対応機能は弱いが,鑑別診断,周辺症状外来対応,地域連携については極めて高い機能をもち、4)地域型、基幹型は、これに加えて入院対応機能が高いことが確認された。「地域包括支援センターの認知症対応力評価尺度-改訂版(CSD-30 revised version)」を用いて,全国の地域包括支援センター4855カ所を対象に調査を実施したところ、有効回答率34.5%で、1施設あたりの1カ月間の認知症相談応需件数が平均15.9人、現時点での認知症困難事例対応件数が平均4.2人、CSD-30は7因子構造をもち、地域包括支援センターにおける、1)医療サービスとの連携支援、2)介護保険サービスとの連携支援、3)普及啓発、4)情報提供、5)家族支援、6)若年性認知症支援、7)認知症初期集中支援の機能が評価できること、CSD-30の合計点は1カ月間の認知症相談応需件数、現在の困難事例の対応件数に相関し(P<0.01)、認知症地域支援推進員が配置されている地域包括支援センターで有意に高いことが示された(P<0.001)。MSD-28とCSD-30は、医療機関および地域包括支援センターの認知症対応力を評価することができる有用な尺度である。
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