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2011 年度 実施状況報告書

LDL受容体非介在性の脂質輸送担体を用いたニーマン・ピック病C型の治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 23590642
研究機関熊本大学

研究代表者

入江 徹美  熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60150546)

研究分担者 石塚 洋一  熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (70423655)
有馬 英俊  熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (50260964)
本山 敬一  熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (50515608)
松尾 宗明  佐賀大学, 医学部, 准教授 (20219398)
持永 早希子  佐賀大学, 医学部, 医療技術職員 (70601045)
藤戸 博  佐賀大学, 医学部, 教授 (50325594)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードNiemann-Pick Type C病 / シクロデキストリン
研究概要

Niemann-Pick Type C病 (NPC)は、コレステロール(Ch)等の細胞内の脂質代謝・転送の破綻に起因する稀少難病である。近年、環状オリゴ糖シクロデキストリン(CyD)がNPC患児への人道的使用において症状を部分的に改善することが報告されているが、CyD誘導体の選択、投与量・投与間隔の設定、投与経路、併用薬の選択等を含む至適投与プロトコールなど、未だ確立されていない。 本研究は、佐賀大学医学部附属病院にて実施しているNPC患児へのCyD療法に対する科学的根拠を提供し、治療の最適化を図ることを目的としている。我々がこれまでに蓄積してきたCyD及びその誘導体に関する研究成果を総動員して、臨床の現場と協働作業で、(1)NPC1欠損マウス及びその細胞培養系を用いて、CyD及びその誘導体のLDL受容体非介在性の脂質運搬体としての分子作用機序を明らかにする。(2)その作用機序に基づいてCyD療法に最適なCyD誘導体の選択、投与量・投与間隔の設定、投与経路、併用薬の選択等を含む至適投与プロトコールを確立する。 平成23年度は、本研究の遂行に必須である各種実験材料の入手、測定系の構築を行った。NPC欠損CHO細胞およびNPC欠損マウス(BALB/cNctr-Npc1m1N/J)を入手し、これらのモデルにおける遊離コレステロールおよびエステル型コレステロールの測定系を確立した。またNPCマウスモデルの病理組織学的評価により、脳、肺、脾、腎および肝臓の脂質沈着等NPC患者に特有の病理所見を確認した。現在これらに対し各種CyDの投与を開始している。また、佐賀大学医学部附属病院にて実施しているNPC患児のCyD投与設計(静脈内および脳室内投与)を行いCyD療法の最適化を目指し解析を行った結果、特にCyDによる顕著な副作用もなく状態をコントロール出来ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度は、本研究の遂行に必須である各種実験材料の入手、測定系の構築を行った。NPC欠損CHO細胞およびNPC欠損マウス(BALB/cNctr-Npc1m1N/J)を入手し、これらの細胞における遊離コレステロールおよびエステル型コレステロール測定系を確立した。またマウスモデルの病理組織学的評価により、脳、肺、脾、腎および肝臓の脂質沈着等を確認した。現在、当初の予定を繰り上げ、NPCモデル細胞およびマウスに対し各種CyDの投与を開始し、最も有効性・安全性の高いCyDの選定を開始している。 また、当初平成25年度からの開始を予定していた項目であるが、佐賀大学医学部附属病院にて実施しているNPC患児の薬物(CyD)投与設計を行い、静脈内投与量の算定、無菌製剤調製法の確立を行っている。更に、世界初の試み(人道的使用、同大病院IRBにおいて承認された臨床試験)として、CyDの脳室内投与を開始し、現在は脳脊髄液中のCyD濃度測定を行い、指摘投与量の算定を試みている。以上より、当初の計画以上に順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

1.NPC欠損モデル細胞を用いた各種CyDの有効性評価およびその作用機序の解析 昨年度に確立した細胞内コレステロールの測定系を利用し、NPC欠損モデルCHO細胞の非エステル型コレステロールの蓄積に対し最も有効性を示すCyDならびに至適濃度を同定する。またその作用は細胞内からのコレステロール引き抜きか、もしくは導入であるかを調べる。2.NPC欠損マウスを用いたCyDの有効性・安全性評価 1.で同定されたCyDの有効性を脳病理組織学的検討、生存率および組織中コレステロール測定により評価する。また、そのCyDの安全性について、特に中枢神経系への影響を調べる目的で、CyDの脳室内投与による影響を、一般行動学的試験、生存率および脳病理組織学的検討により評価する。3.NPC患児におけるCyD療法の最適化 CyDの脳室内投与について、脳脊髄液中のCyD濃度測定・薬物動態学的解析の観点からCyD療法の最適化に関する検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究に使用するNPC1欠損マウス(BALB/cNctr-Npc1m1N/J)の繁殖・飼育に伴い必要とする飼料、床敷きの購入を物品費で行う。その他、(1)NPC1欠損CHO細胞や神経様細胞の培養に用いる試薬類、(2)各種CyD、NPC1たんぱくしつの機能低下をもたらすU18666A、スフィンゴリン脂質合成酵素阻害薬miglustat、デンドリマー/CyD結合体などの被検薬品類、(3)各種CyDの定量に用いるHPLCカラム、移動相に用いる溶媒等の試薬類をHPLC用試薬類、(4)Ch定量に用いるCh定量用キット、firipinおよびフローサイトメトリー関連消耗品類等のCh定量解析試薬、(5)IL-6、INF-βおよびSTATの定量・解析に用いるELISA kitや抗体類を炎症性サイトカイン・シグナル解析試薬、(6)培養細胞の細胞傷害性の判定に使用するMTT assay試薬およびAnnexin V assay用試薬を細胞傷害判定試薬、(7)実験動物の苦痛軽減に用いる麻酔薬、薬物投与カテーテル、採血用シリンジ・注射針等を動物実験用試薬を物品費として使用する。 また、研究成果を学会(日本薬学会年会)にて発表する経費、佐賀大学の分担研究者との打ち合せにかかる経費を旅費として使用する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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