研究課題
Niemann-Pick病Type C (NPC)は、コレステロール(C)等の細胞内の脂質代謝・転送の破綻に起因する稀少難病である。近年、環状オリゴ糖シクロデキストリン(CyD)がNPC患児への人道的使用において症状を部分的に改善することが報告されている。しかし、CyD誘導体の選択、投与量・投与間隔の設定、投与経路、併用薬の選択等を含む至適投与プロトコルなどは未だ確立されていない。本研究は、佐賀大学医学部附属病院にて実施しているNPC患児へのCyD療法に対する科学的根拠を提供し、治療の最適化を図ることを目的としている。平成25年度は、前年度に確立したin vitroおよびin vivo評価系を用いて、以下の新知見を得て、臨床現場にフォードバックした。HP-β-CyDはin vivoマウスモデルにおいて、1000-4000 mg/kgの週1回投与で、肝組織中遊離型コレステロール蓄積の軽減およびエステル型コレステロールの補充効果、血清中トランスアミナーゼ活性・肝細胞障害の軽減効果および顕著な生存率改善効果も示した。また、このときのHP-β-CyD血中濃度を測定したところ、0.1-2 mMの範囲で推移していた。HP-β-CyDの安全性を評価することを目的に、NPC1 欠損マウスおよび野生型マウスを用いたHP-β-CyD の急性・亜急性毒性試験を行いった。その結果、Npc1ホモ欠損マウスでは野生型と比較し肝傷害、腎障害および肺傷害が顕著に軽減されることを明らかにした。
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