研究課題
本研究は、抗けいれん薬ガバペンチンの吸収と排泄を担うと考えられているアミノ酸トランスポーター(LAT2)と新規有機カチオントランスポーター(OCTN1)などの1塩基多型(SNP)について、過去のガバペンチン第1相試験に参加した被験者のうち文書同意の得られた7名の血液検体を用いて調べた。上記薬物トランスポーターについてはプロモーター、エクソン、エクソン‐イントロン周辺の配列すべてをシーケンスした。他に、新規プロトン交換輸送型有機カチオントランスポーター(MATE1、MATE2-K)、有機アニオントランスポーター(OAT3)について既知かつ機能変化のあるSNPを調べた。その結果、腎排泄低下かつ眠気増強を認めた被験者1名にOCTN1イントロン5とMATE1プロモーター部に新規SNPを認めた。また、LAT2のイントロン2の新規SNPを5名に検出し、野生型ホモ体、ヘテロ体、変異ホモ体の順で吸収が増加する傾向と変異ホモ体保有者での眠気を認めた。次に、上記SNP保有者数を日本人73名のDNA保存試料を用いて調べた。前2者のSNPは検出されなかったが、後者は変異ホモ体が16名、ヘテロ体が33名に検出された。その他のSNPについては薬物動態変化と関連するものはなかった。今後、集団を対象として上記SNPと薬物動態および精神神経症状とが関係するかを明らかにする必要がある。本研究の意義、重要性として、上記ゲノムバイオマーカーを確立することにより、ガバペンチンあるいはLAT2により吸収される他の医薬品の有害反応および治療効果の不応性をSNP測定によって予測し、治療用量の個別化に応用できる。また、医薬品開発においてゲノムバイオマーカーの違いによる集団での効果、副作用の違いを調べることでより適切な用量設定ができる。
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