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2011 年度 実施状況報告書

尿酸降下薬の分子標的:新規腎臓尿酸トランスポーターURAT2の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590647
研究機関獨協医科大学

研究代表者

JUTABHA Promsuk  獨協医科大学, 医学部, 助教 (90541748)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード尿酸 / 痛風 / トランスポーター
研究概要

腎尿細管における尿酸再吸収は、他のほ乳類に比べ高いヒトの血中尿酸値を制御する重要な因子である。研究代表者らはこれまでに尿酸再吸収は管腔側の尿酸トランスポーターURAT1と血管側の尿酸トランスポーターURATv1がタンデムになって担う事を明らかにしているが、この両者に遺伝子変異のない家族性腎性低尿酸血症患者が確認されたことで、第三の分子"URAT2"の存在が推測されている。本研究は、URAT2による尿酸輸送活性の詳細な解析による確認と、URAT2を分子標的とする新規尿酸降下薬創製のための基盤の確立を目的として行われた。研究代表者はこれまでに有機酸トランスポーターOAT10として報告されたクローンSLC22A13が低親和性の尿酸トランスポーターであることをアフリカツメガエル卵母細胞発現系による実験により確認しているが、古典的生理学解析手法により想定された低親和性トランスポーターが有するとされる乳酸やケトン体などの幅広いモノカルボン酸による交換輸送機序の詳細は不明であるため、OAT10がURAT2であることの実証を目指し、さらなるOAT10による尿酸輸送活性の解析を行い、その輸送特性が同じく腎臓に発現するURAT1に類似の有機酸交換輸送であることを見出した。 並行して、前年度末までに創製に成功しているヒトURAT2遺伝子を過剰発現するトランスジェニック(URAT2 Tg)マウスの出生直後からの体重や尿酸およびクレアチニン等を中心とした血液・尿生化学検査データの変動を解析を開始した。次年度以降に遂行されるURAT2尿酸輸送阻害化合物のin vivo効果の判定に利用する尿中尿酸排泄亢進モデルとして利用可能か否かの判定を次年度以降に目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者は、平成23年10月1日より現職に異動となったが、平成23年の6月の時点で獨協医大への異動の手続きが始まっていたため、上半期は10月からの異動に向けての検体の整理、文献情報の収集およびデータのまとめを中心にした研究活動に限定していた。10月からの異動後も、前任地で利用していた実験動物の搬入許可および新環境への動物の適応期間の待機、さらには使用していた放射性化合物の移転手続きに時間を要したため、11月半ばを過ぎてから実験活動の本格的再開できることとなった。その後は年末年始も休み無く活動を続けたが、最終的には予定検討項目全てに関する成果のとりまとめには位足らず、また研究費の面でも次年度使用額が残る結果となった。

今後の研究の推進方策

上記の達成度の欄に記載したように、平成23年度において成果が出ることを予定していた、乳酸やケトン体などの幅広いモノカルボン酸による交換輸送機序の詳細をさらに解明するため、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてさらなるOAT10による尿酸輸送活性の解析を行い、その輸送特性が既存のURAT1とどのように異なるのか、特に基質認識の相違点について明確にし、次年度に予定していたURAT2による尿酸輸送阻害候補低分子化合物ライブラリー(少量規模)作成のための基盤とする。

次年度の研究費の使用計画

上述の今後の研究の推進方策をふまえ、第一に得られた URAT2による尿酸輸送阻害薬物の化学構造情報を、海外研究協力者であるColorado大学のMichael F. Wempe准教授にも送付し、それらの構造活性相関を基に議論を行ってURAT2による尿酸輸送阻害候補低分子化合物ライブラリー(少量規模)の作成を共同で行う。その際にWempe准教授のラボを直接訪問し、時間をかけて検討をする。 また次年度に行うトランスポーター阻害薬の化合物スクリーニングでの利用のために、 URAT2の安定発現培養細胞系の樹立を目指す。これまでにURAT1の安定発現細胞樹立に利用されたほ乳類培養細胞であるHEK293に、Lipofection法を用いてURAT2遺伝子導入を行う。 並行してヒトURAT2遺伝子を過剰発現するトランスジェニック(URAT2 Tg)マウスの出生直後からの体重や尿酸およびクレアチニン等を中心とした血液・尿生化学検査データの変動を解析結果の整理を行い、平成24年度以降に遂行が予定されているURAT2尿酸輸送阻害化合物のin vivo効果の判定に利用する尿中尿酸排泄亢進モデルとして利用可能か否かの判定を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Clinical and functional characterization of URAT1 variants.2011

    • 著者名/発表者名
      Tasic V, Jutabha P, et al.
    • 雑誌名

      PLoS One.

      巻: 6 ページ: e28641

    • DOI

      PMID: 22194875

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Apical voltage-driven urate efflux transporter NPT4 in renal proximal tubule.2011

    • 著者名/発表者名
      Jutabha P, et al.
    • 雑誌名

      Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids.

      巻: 30 ページ: 1302-1311

    • DOI

      PMID: 22132991

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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