研究課題
Morphine は腸管輸送能抑制作用においては末梢のみでなく、脳と脊髄の μ-opioid 受容体も作用の発現に重要であることが明らかとなった。Fentanyl においては、小腸では主に末梢、大腸では主に脳の μ-opioid 受容体が重要であり、oxycodone においても小腸では主に末梢、一方、大腸では脊髄の μ-opioid 受容体が便秘の発現に重要であることも明らかとなった。また、naloxonazine 感受性部位における検討から、fentanyl と oxycodone による小腸輸送能抑制作用においては中枢の naloxonazine 感受性部位が一部関与する可能性が考えられた。大腸輸送能抑制作用の発現には、morphine、fentanyl および oxycodone において、中枢の naloxonazine 感受性部位が関与する事が示唆された。以上の結果より、opioid 鎮痛薬による便秘は主に末梢性 μ-opioid 受容体を介した小腸輸送能抑制作用と、中枢性 μ-opioid 受容体を介した大腸輸送能抑制作用によって引き起こされることが明らかとなった。さらに、その寄与の機序にも3種の opioid 鎮痛薬間での相違が認められた。特に、大腸輸送能に関しては、morphine は末梢、脳、脊髄の全ての μ-opioid 受容体が重要であるのに対し、fentanyl は脳、oxycodone は脊髄の μ-opioid 受容体がそれぞれ抑制作用の発現に重要であることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
オピオイドにより誘発される便秘が、小腸由来のものは末梢性のμ-opioid 受容体を介し、大腸由来のものは中枢性のμ-opioid 受容体を介するといった知見を確認出来た。以上の結果より、欧米で使用されている末梢性μ-opioid 受容体拮抗薬は、非常に猶予であることが示唆された。また、モルヒネ、オキシコドンおよびフェンタニルの作用部位ならびに受容体サブタイプはそれぞれ異なることも示すことが出来た。
今後は、末梢性μ-opioid 受容体拮抗薬による退薬症候などど安全性について検討していくとともに、前年度に引き続きオピオイド受容体作動薬によって誘発される吐き気のメカニズムについて、特に、トラマドールに焦点を絞り研究を進めていく。
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