研究課題
本研究では、唾液中アミラーゼ活性と opioid 鎮痛薬誘発悪心・嘔吐に相関性があるか否かの検討を行った。ラットに morphine, oxycodone を投与したところ、有意な唾液中アミラーゼ活性の上昇がみられ、fentanyl においては唾液中アミラーゼ活性の上昇傾向がみられた。Prochlorperazine は opioid 鎮痛薬誘発悪心・嘔吐に対して臨床現場で広く使用されていることから、次に prochlorperazine を用いて opioid 鎮痛薬誘発唾液中アミラーゼ活性に対する影響について同様に検討を行った。その結果、prochlorperazine の処置により、morphine によって上昇したラット唾液中アミラーゼ活性は有意に抑制された。したがって、ラット唾液中アミラーゼ活性とopioid 鎮痛薬誘発悪心・嘔吐に相関性があること、更には、ラット唾液中アミラーゼ活性を指標に悪心・嘔吐の評価を行うことが可能であることが示唆された。Morphine の皮下投与による大腸輸送能低下作用は、末梢性 μ-opioid 受容体拮抗薬である methylnaltrexone の前処置により、morphine 低用量では改善したが、高用量では改善が認められなかった。Morphine の脳室内投与においても用量依存的な大腸輸送能低下作用が認められ、この作用は methylnaltrexone の前処置では改善されなかった。そこで vagotomy により迷走神経の関与を検討したところ、morphine の脳室内投与による大腸輸送能低下作用は、vagotomyによって有意な変化は認められなかった。したがって、morphine の高用量では末梢性のみならず中枢性 μ-opioid 受容体作動作用により迷走神経を介さずに便秘が発現すると考えられる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)
J Pharmacol Sci.
巻: 126 ページ: 47-55
Eur J Pharmacol.
巻: 740 ページ: 160-167
10.1016/j.ejphar.2014.07.009.
Addict Biol.
巻: 000 ページ: 000
10.1111/adb.12169.
J Pharmacol Exp Ther.
巻: 347 ページ: 91-99
10.1124/jpet.113.204313.