研究概要 |
リポ蛋白分画の粒子径・粒子数に関する基礎的検討においては、健常者から得た血清を材料に,様々な分画法により得たリポ蛋白分画について,粒子径と粒子数のAFM計測を行った。健常者7名(24.3±3.3歳, mean±SD)の空腹時血清を用いた。健常者(n=7)の血清を用いて, 段階的超遠心分画法によりlarge LDL画分(1.019<d<1.044), sd LDL画分(1.044<d<1.063), 総リポタンパク質画分(d<1.225)を得た。各リポタンパク質画分の良好な分離を非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて確認した。原子間力顕微鏡にはMFP-3D-BIO(Asylum Research)を用いた。large LDL(n=7)およびsd LDL(n=7)粒径ピークはそれぞれ21.0±2.0 nm, 17.1±2.6 nm(Mean±SD)で, 統計学的に有意な差を認めた(P<0.05)。総リポタンパク質画分(n=3)の粒径分布では, 10 nm付近のHDLが多く観察され, 次いで20 nm付近にLDLが観察された。それ以上大きい粒径をもつVLDLやCMなどのリポタンパク質は少なかった。EMによるlarge LDL(n=6)およびsd LDL(n=6)の粒径ピークはそれぞれ23.5±1.3 nm, 20.5±0.5 nm(Mean±SD)で, 統計学的に有意な差を示した(P<0.05)。総リポタンパク質画分の粒径分布ではAFMの結果と類似したプロフィールを示した。AFMとEMの粒径計測結果で有意な相関が認められた(Rs = 0.75,P<0.01)。リポ蛋白表面疎水性を計測するAFMプローブの作製の目的のためには、AFMのカンチレバーにリポ蛋白表面の疎水性を認識する分子で表面処理を施す実験を遂行中である。
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