研究課題
原子間力顕微鏡(AFM)はナノスケールの大きさや形状の計測を行う能力を持ち、さらにカンチレバーに修飾を行うことにより様々な機能的計測も可能にすることから、生体物質への医学的応用が期待される。本課題ではAFMをリポタンパク質粒子の計測と分類に応用することを目標としている。平成24年度は、大型LDLと小型LDLの原子間力顕微鏡(AFM)による計測の妥当性について、電子顕微鏡(EM)と比較することにより評価した。AFMはタッピングモードで行い、EMはネガティブ染色モードで行った。6名の健常者から超遠心法により分離した大型LDLと小型LDLを計測した。AFMとEMのそれぞれにおいて両リポタンパク質分画の粒子径は有意差をもって大型リポタンパク質が大きかった。AFMとEMの比較においては、いずれのリポタンパク質分画においても方法間で有意差を認めた。次いで、総リポタンパク質分画を試料としてAFMとEMによる計測を行った。HDLとLDLの粒子数の分布は、AFMでは、それぞれ64.3% and 24.1% で、EMではそれぞれ72.2% and 14.1% であった。不一致の原因として、小型LDLとHDLの分解能力がAFMでは不十分であることが考えられた。
3: やや遅れている
小型LDLとHDLといった比較的小型のリポタンパク質粒子の計測条件の検討に時間を割いたが、ハードウェアの限界を確認するのに時間を要した。しかし、その限界を見極めることができたことは成果の一つである。
今後は大型リポタンパク質に対象を絞って計測を行うことで、さらに成果を上げる予定である。また、より高性能の原子間力顕微鏡を使用する機会が年度内に得られる予定であるので、その際には小型LDLとHDLについても検討を再度加える予定である。
該当なし
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