研究概要 |
ヒトiPS細胞はOct4, SOX2, Klf4, c-Mycの4つの遺伝子を皮膚線維芽細胞に導入し、リプログラミングすることによって多分化能と不死性を持たせることに成功したES細胞と同じ多能性幹細胞である。近年のiPS細胞研究の発達により、これが疾患治療と疾患モデル作成に利用できる可能性が示されつつある。本研究は、in vitroで再現困難な骨髄異形成症候群(MDS)のモデル作製を目的とし、cell free系である細胞外マトリックスを使用した疾患特異的iPS細胞の長期培養維持する方法樹立することを目的としている。今年度は、MDS患者より採取した骨髄細胞よりCD34陽性幹細胞分画を分離し、細胞外マトリックス上で長期培養が可能かどうかを検討した。現段階では、通常の培養条件よりは長期である30日以上の培養は可能なようであるが、MDSに特徴的な形態異常を再現しているかについては確認できていない。さらに現在iPS細胞作製に必要な転写因子Oct-4, Sox-2, Klf-4, NANOGを組み込んだレトロウイルスベクターを作成して、導入に必要な条件を整えている。購入した線維芽細胞に上記のウイルスを感染させ、遺伝子を効率的に導入できているかを確認中である。これにより十分な効率でiPS細胞を樹立できれば、造血細胞である臍帯血細胞に感染させることによって、まず正常造血細胞のiPSを作製し、その特徴を検討する。
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