研究課題/領域番号 |
23590661
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
角野 博之 群馬大学, 医学部, 講師 (10375579)
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研究分担者 |
村上 正巳 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30241871)
倉林 正彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00215047)
中原 健裕 群馬大学, 医学部, 医員 (00599540)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 内科学 / 臨床検査医学 / 動脈硬化 / 生理機能 / バイオマーカー |
研究概要 |
動脈硬化進展の各病期には血管障害を反映する様々な因子(バイオマーカー)が作用している。血中バイオマーカーには血糖、HbA1c、脂質、フリーラジカル(活性酸素)、細胞接着分子、サイトカイン、C反応性蛋白、甲状腺ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンなどがある。一方、血管の動脈硬化進展の初期~重症期の各病期は、順に(1)初期:血流依存性血管拡張反応(flow-mediated vasodilatation: FMD)、(2)動脈硬化中間病変形成期:脈波伝播速度(pulse wave velocity: PWV)、(3)中膜内膜肥厚期:頸動脈内膜中膜複合体厚(intima-media thickness: IMT)、(4)重症期(プラーク形成または破綻期):心臓computed tomography (CT)などの4種の臨床的動脈硬化検査法により評価可能である。本研究は、糖尿病患者に対して上記の4種の臨床的動脈硬化検査および血中バイオマーカーの測定を同時に行い、糖尿病患者における動脈硬化進展の各病期を反映する至適バイオマーカーを探索するために開始された。 今年度は、対象者として2型糖尿病患者150例の症例数を目標としたが、82例しか募集することができなかった。現在、82症例全員に対して、上記の臨床的動脈硬化検査を実施し、採血にて血糖、HbA1c、脂質、C反応性蛋白、細胞接着分子、甲状腺ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンなどのバイオマーカーを測定した。しかし、血中のフリーラジカル、サイトカインなどのバイオマーカーの測定は未実施である。今年度は、症例数が少ないため、統計的に糖尿病患者における動脈硬化進展の各病期を反映する至適バイオマーカーを探索するまでには至っていないが、来年度以降は可能な限り多くの対象者を募集し、さらに、可能な限り血中の未実施検査項目の測定を完了し、研究を遂行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当大学の臨床研究倫理審査委員会への申請書の作成準備に時間を要し、承認が当初の予定より遅れてしまった。また、東日本大震災の影響による計画停電のために、研究の開始が遅れ、さらに研究実施日の決定に苦慮した。 研究対象者数の不足については、大学内および近隣の地域への宣伝活動が不十分であったことが原因と考えられる。また、研究分担者への役割分担についての説明が不十分であったため、研究の進行が順調には進まず、遅れてしまった。 さらに、当初予定していた研究用の臨床的動脈硬化検査の実施場所が検査技師のルーチン検査に使用されてしまい、研究用の検査実施場所の確保に多くの時間を費やしてしまった。また、動脈の硬化度を反映する脈波伝播速度を測定する機器である血圧脈波検査装置(VaSera VS-1000;フクダ電子社製)が故障してしまい、修理に約2週間を要し、その期間に研究が中断してしまったことも原因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象者数が目標に達していないので、大学内および近隣公民館などへのポスター掲示、講演会時の宣伝、近隣の地域住民への健康教室時の宣伝などにより可能な限り多くの追加の対象者を募る予定である。 今年度に引き続き、追加対象者に対しても早朝空腹時に採血し、同日、血管動脈硬化進展の4病期を反映するFMD、PWV、頸動脈IMT、心臓CTなどの臨床的動脈硬化検査を行う。採血にて血糖、HbA1c、脂質、C反応性蛋白、細胞接着分子、甲状腺ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンなどのバイオマーカーを測定する。また、試薬を購入し、血中のフリーラジカル、サイトカインなどのバイオマーカーの測定を行う。 得られたデータの解析は、今年度と同様に単回帰分析および重回帰分析を用いて(1)初期:FMDと血中バイオマーカーとの相関関係、(2)動脈硬化中間病変形成期:PWVと血中バイオマーカーとの相関関係、(3)中膜内膜肥厚期:頸動脈IMTと血中バイオマーカーとの相関関係、(4)プラーク形成または破綻期:心臓CTによる冠動脈の狭窄率・石灰化と血中バイオマーカーとの相関関係をそれぞれ求め、動脈硬化進展の4つのそれぞれ各病期を反映する至適バイオマーカーの探索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費については、エライザー・アッセイ試薬を2キット購入し、バイオマーカーの測定を行う予定である。 まず1つ目は、d-ROMsテスト(FREE)試薬(50回測定用)をウイスマー社から1キット購入する。当教室の実験室において、今年度購入したFREE carpe diem(フリーラジカル解析装置;ウイスマー社製)に、d-ROMsテスト(FREE)試薬を用いて血中の酸化ストレス度を測定する。血中の酸化ストレス度の測定は、血液における、活性酸素・フリーラジカルによる代謝物(ヒドロペルオキシド)を分析測定し、数値化したものである。 2つ目は、高分子アディポネクチン測定試薬(200回測定用)を富士レビオ社から1キット購入する。当大学の検査部の中央検査室において、LUMIPULSE PrestoII(富士レビオ社製)に、高分子アディポネクチン測定試薬を用いて血中の高分子アディポネクチンを測定する。 旅費については、名古屋市で開催予定の日本内分泌学会学術総会、京都市で開催予定の日本臨床検査医学会学術集会、横浜市で開催予定の日本循環器学会学術集会などに参加するための旅費として使用する予定である。これらの国内の学術集会に参加し、得られた研究成果の発表を行い、また他大学の研究者との情報交換を行い、さらに最新の話題や革新的な研究成果の発表を聞く予定である。
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