研究概要 |
アルゼンチン人脂肪肝患者を対象とした昨年度の検討にひき続き、本年度は、我が国の31名の肝生検を施行した脂肪肝患者を対象として、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の存在とヘパリン静注後肝性リパーゼ(HL)活性との相関性を検討した。NASHの判定は、Matteoniの分類に従い、type 3 と4をNASH(+)と、type 1と2をNASH(-)し(Gastroenterology, 116; 1413-1419, 1999.)、HL活性測定は我々が以前報告した方法(Imamura S, Kobayashi J et al. J Lipid Res. 2008. 49:1431-7.)で測定した。 対象症例の臨床プロファイルは、年齢56±15y、男性35%、BMI 29±8.0kg/m2、AST62±35IU/L、ALT94±60IU/L、γGTP 106±107IU/L。 その結果、HL活性はNASH(-)群、NASH(+)群でそれぞれ187±87 IU/L、163±51 IU/L (p=0.35)と差がなかった。また、HL活性は肝臓の線維化を示す指標であるヒアルロン酸とは相関なく(r=-0.23 p=0.36, n=18)、4型コラーゲン7Sとは負の相関傾向を示した(r=-0.36, p=0.06, n=0.06)。一方、ヒアルロン酸値は、NASH(+)群、NASH(―)群でそれぞれ、72±51 ng/ml, 26±19 ng/ml (p=0.053)、4型コラーゲン7SはNASH(+)群、NASH(―)群でそれぞれ5.5±1.6 ng/ml, 4.2±0.5 ng/ml(p=0.065)であり、NASH群で明らかに高値傾向を示した。
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