研究概要 |
1.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の免疫染色による免疫表現型分類とその意義 手術摘出されたIPMN33症例のホルマリン固定、パラフィン包埋組織を用いて、ムチンコア蛋白の免疫染色を行い、免疫表現型分類を試みた。腸杯細胞ムチンMUC2の発現程度により、IPMNはgastric immunophenotype, intestinal immunophenotype, mixed gastric and intestinal immunophenotypeの3群にIPMNは亜分類された。形態的には、従来の胃型、腸型、胃・腸混合型に相当するが、MUC2の発現を指標にすることにより、胃型の乳頭状構造と腸型の絨毛構造の鑑別が容易となり、また、胃型、腸型、胃・腸混合型の分類がより客観的に行えた。胃腺粘液細胞ムチンMUC6はいずれの表現型にも発現がみられたが、intestinal typeに比べgastric typeとmixed typeにおいて発現が亢進していた。一方、胃腺粘液細胞ムチンGlcNAcα1 → 4Galβ → Rはgastric typeとmixed otypeのみに発現がみられた。Mixed typeはgastric immunophenotype部とintestinal type部が明瞭に堺されたcollision typeが主体で、両phenotypeが境界不明瞭に混在したcomposite typeは1例のみであった。3群の免疫表現型の間には性別および年齢に関して有為差はみられなかった。病理組織学的特徴として、intestinal typeではgastric typeに比べ、主膵管型が多く、細胞異型が高い症例が多くみられた。 2.IPMN症例の膵液中のTFFの測定の基礎的条件検討を行った。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費の請求額1,201,3210円は物品費101,3210円[膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の病理・組織化学的解析関連4501,3210円、胃型肺癌の遺伝子解析関連および病理・組織化学的解析関連(kRas及びEGFR変異解析)300,000円、胃型病変の分泌部TFF測定関連250,000円)]、国内旅費50,000円、人件費・謝金0円、その他0円、研究分担者への配分150,000円(奥村伸生100,000円、本田孝行50,000)を予定している。 当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。
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