研究課題/領域番号 |
23590667
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村手 隆 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30239537)
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研究分担者 |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30135371)
鈴木 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80236017)
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キーワード | SPHK1 / Friend cell / c-Myb / chemical differentiation / human colon cancer cell / CD44 / S1P receptor 2 / ERK pathway |
研究概要 |
1) マウス赤白血病細胞フレンド細胞におけるSPHK1(sphingosine kinase 1)の過剰発現と分化誘導時におけるその発現抑制: 各種マウス細胞株の比較によりフレンド細胞におけるSPHK1タンパク、mRNAの過剰発現を明らかにし、その原因がSPHK1 5' プロモーター領域に存在するc-Myb転写因子結合部位へのc-Mybの結合による転写調節である事を明らかにした。c-Myb siRNA並びにcDNA expression vectorによりc-MybによるSPHK1の転写調節機序をさらに確認した。また、フレンド細胞はHMBAにより高度に終末分化誘導され脱白血病化する事が知られているが、その過程で早期にc-Mybの減少によりSPHK1の発現が低下し、それがこの細胞の増殖停止に関与している事を明らかにした。これらの事実は、白血病細胞において発現が増加しているc-Myb、SPHK1が抗がん化学療法のよい標的になりうる事を示した重要な報告である。 2) ヒト大腸癌細胞株におけるSPHK1によるCD44発現調節機序の解明:CD44はがん幹細胞のマーカーとして近年注目を集めている。我々は2種の大腸癌細胞株RKOとHCT116との比較により、前者にCD44, SPHK1の発現が増加している事を明らかにした。興味深い事にSPHK1の阻害剤ないしsiRNAによってRKO細胞のCD44の発現は減少した。一方、HCT116細胞にSPHK1を過剰に発現させるとCD44の発現が増加した。さらにこれらの機序が細胞によるS1Pの産生とそれに伴う細胞膜S1P2受容体さらにはその下流のERK の活性化によるものである事を示した。がん幹細胞は多くは抗がん剤耐性である事が知られており、そのマーカーであるCD44の発現調節機序へのSPHK1の関与は非常に興味深い事実である。
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