研究課題
核酸代謝酵素(メチルチオアデノシンフォスフォリラーゼ、以下MTAP)の欠損は種々の癌で高頻度に認められる。一方、正常細胞・組織では本酵素活性は正常であり、この違いを利用した選択的治療法の開発が期待されている。本研究では、MTAP遺伝子診断より簡便な方法として、フローサイトメトリー法(FCM)による酵素欠損の診断法についての基礎的検討を行った。我々が作製した抗MTAP抗体を用いて実験では、FCMによって酵素欠損を診断できる場合とできない場合があった。原因としては、細胞内MTAPタンパク量の差が考えられる。そこで、他の方法として、プロモーターメチル化を簡便に診断する高速液体クロマト法を開発した。高速液体クロマト法によってメチル化DNAと非メチル化DNAを分離することが可能かどうか、まずC/Tの置換を1カ所有する合成オリゴを用いて検証した。その後、MTAPプロモーターがメチル化されている細胞とメチル化されていない細胞からDNAを抽出し、Bisufite処理した後にPCR増幅した。PCR産物は202塩基長であり、16個のCpGが含まれる。これらの産物は、高速クロマト法によって明瞭に分離することができた。202塩基中16塩基、即ち約8%の塩基置換があれば本法による分離は9分以内に可能であった。これらの結果より、MTAP酵素欠損の診断アルゴリズムは完成形に近づいたと思われる。
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