研究課題
本年度は昨年度までの研究実績を、実際の臨床検体を使用しての解析に応用することを目指した。甲状腺正常・腫瘍組織から単一細胞となった検体材料を得ることを試みた。まず、コラゲナーゼ、ディスパーゼを使用して濾胞レベルまで組織を分散した後、プロナーゼまたはトリプシンにて単一細胞を得る従来法を試みたが、バセドウ病組織と一部の濾胞性腫瘍組織では十分な量の細胞が回収されたものの、悪性腫瘍の大部分を占める乳頭癌組織では回収される細胞数が少なかった。そこで、酵素の種類や処理時間を変更して最適な方法を検討し、最終的にプロナーゼ、トリプシンの使用をやめ、コラゲナーゼとディスパーゼの連続長時間処理をすることによってによって、乳頭癌を含むほとんどの甲状腺組織から安定して単一細胞を得られるようになった。臨床検体では採取可能な細胞数が限られるため、少量の細胞から安定的にRNAの定量解析を行う必要がある。臨床現場ではFACS-mQのプロトコールにおいて染色が終了してから細胞採取までの過程が直ちに行えない場合が発生するため、どのような条件でどのくらいの時間の保存が可能か検討した。その結果、染色終了後DTTを加えることにより少なくとも48時間まではRNAの定量解析に影響を与えないことが分かった。ただし、同時に解析したFlow Cytometry像はわずかに変化が見られ、染色後可能な限り早くFACSによる解析をするのが望ましいと考えられた。FACS後採取されたRNAの定量解析法についても検討した。少数の細胞から複数の遺伝子の定量解析を行うため、単純なRT-PCR, Whole Transcriptome Amplification, 2-step 定量RT-PCR(最初に共通プライマーで増幅、その後特異的プライマーで定量する方法)を比較・検討したが、2-step 定量RT-PCRが最も感度が高かった。
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Endocrine Journal
巻: 未定 ページ: 未定
10.1507/endocrj.EJ13-0517
Mol Biotechnol
巻: (in press)
10.1007/s12033-014-9733-5
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/www/CRT/CRT%20Home.html