研究課題
我々は、花粉症や出産が誘因となり、バセドウ病が発症したり、増悪したりすることを報告してきた。花粉症や出産によるTh2の活性化が原因と考えている。しかし従来の抗TSHレセプター抗体(TRAb)測定法では、バセドウ病患者の末梢血単核球培養上清中のTRAbを測定することができなかったので、メカニズムを明らかに出来ていない。そこで本研究では、高感度TRAb測定法用いて、培養上清中のTRAb濃度を測定し、同時にサイトカイン濃度も調べ、その相関を調べることにより、バセドウ病が発症・増悪するメカニズムを明らかにすることを目的にしている。昨年度は、倫理委員会の承認を得た後、研究への協力について同意の得られたバセドウ病患者の末梢血単核球をFicoll-Paque Plusで回収し、無血清液体培養液X-VIVO 10 medium中で2,000,000 cells/mlに調整し、①PMAとionomycinで刺激、②PWMで刺激、③刺激物質なし、の3通りの方法で7日間培養し、培養上清を収集した。今年度、それらの培養上清中のTRAb を測定したところ、刺激物質なくても一部のバセドウ病患者の末梢血単核球がTRAbを産生することが明らかになり、また、刺激してもTRAb産生量がほとんど変化しないことも明らかになった。一方、IL-4、IFNγ、IL-17は、刺激物質がない場合はほとんど産生されなかったが、刺激がある場合には著明に産生された。つぎにメチマゾールによるTRAb産生抑制の有無について検討したが、メチマゾールはTRAb産生を抑制しないことが明らかになった。したがって来年度はTRAb産生を抑制する可能性のある他の薬物で検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度の検討で培養条件が決定し、来年度はその培養条件でTRAb産生を抑制する可能性のある薬物について検討することができるから
他のTRAb産生を抑制する可能性のある薬物について検討する予定である。
免疫抑制薬、TRAb測定試薬、サイトカイン測定試薬、リンパ球培養関連試薬などを購入予定である。また、内分泌関連の学会、臨床検査関連の学会に出席し、最新の情報を収集する予定である。
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