研究概要 |
本研究目的は猫ひっかき病(CSD)の病原菌で培養困難なBartonella henselaeに対する血清抗体価を高感度に測定できるELISA法の確立である。我々はすでにELISA 法によるB. henselae IgG抗体価測定抗原にはB. henselaeのN-ラウロイル-サルコシン処理後の溶解蛋白成分が優れていることを見出している。本研究の初年度はその溶液中に含まれるCSD患者に特異性の高いと思われる蛋白の検索を中心に研究した。【方法】B. henselae ATCC49882株のサルコシン処理した菌液を超遠心した後の上清精製液からB. henselae特異抗原蛋白の検索を試みた。まずCSD患者血清5名(IFA法でIgG256倍以上)および健常人血清5例(IFA法陰性)について、上清液中の抗原と反応する蛋白をウエスタンブロット法で解析した。健常人では認められず、CSD患者に特異的、かつ共通して見られる蛋白を中心に検索した。また抗原を2次元電気泳動・ウエスタンブロット後、質量分析にてそれら蛋白の同定も試みた。【結果および考察】サルコシン処理上清液中蛋白の 11~15KDa, 32~35KDa, 45KDa, 67KDa, 78KdaがCSD 患者血清中に共通した主要な蛋白候補として挙げられた。またPeptidyl-prolyl cis-trans-isomerase, 50s ribosomalprotein L7/L12, またChperone protein Dnakなど数種類蛋白が同定された。現在更に検討中である。
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