研究課題/領域番号 |
23590675
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
久冨 信之 香川大学, 医学部, 准教授 (20552045)
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研究分担者 |
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
山本 由佳 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30335872)
飯田 秀博 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所画像診断医学部, 部長 (30322720)
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キーワード | 脳虚血 / 脳梗塞 / PET / 迅速検査 / 脳血流 / 脳酸素代謝量 / 脳血液量 / 画像解析 |
研究概要 |
脳虚血についてその重症度の診断は患者の予後にかかわるため、迅速な診断法の開発は重要な課題である。本研究課題はPETによる10分程度の迅速脳血流・酸素代謝量検査(標識水と標識酸素を5分差程度で投与し検査時間を短縮した検査法、迅速法)において、血管成分量(CBV)画像を推定する方法の開発を目的としている。 今年度は、前年度に引き続き迅速脳血流・酸素代謝量法(連続投与法)により香川大学医学部付属病院および国立循環器病センターにおいてPET検査を実施し、30例程度の症例データがあった。連続投与法データによりダイナミック画像を計算し、またその画像にフィルターをかけノイズを軽減させた画像を得た。 CBV計算において、動脈入力関数の組織への到達時間の誤差が大きく誤差要因となることがわかり、画像の画素ごとに到達時刻を縫製する方法を開発した。この補正計算法をCBV画像(CBV(Dual))計算に適用した。本計算法の有効性の確認のため、従来法である標識一酸化炭素によるCBV画像(CBV(CO))を計算し、CBV画像を比較した。その結果、迅速法から得たCBV画像のコントラストが類似していることを確認した。特に、虚血のためCBVが上昇している領域でその上昇領域が一致していることを確認した。また定量値を比較し相関係数は健常者でr=0.80患者でr=0.75であることがわかった。他方、到達時間補正なしの場合、健常者でr=0.60患者でr=0.22であり、補正の有効性を確認した。フィルター処理をした場合、健常者でr=0.83患者でr=0.85で、より有効なCBV画像が得られることを確認した。 健常領域と虚血病変領域に関心領域をとり、精度の高い最適化フィッテング法を適用した。病変部位において健常域と比べ有意な遅延があることを確認した。 本方法により計算したCBV(Dual)画像は脳虚血診断に有効と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度と合わせて、健常者、患者データを80件程度得ることを計画し、これらが得られた。これらのデータにおいて迅速検査法による画像データおよび標識一酸化炭素によるCBV画像を計算し比較した。特に計算においては入力関数到達時刻の画素ごとの方正法を加えた計算、更に撮像画像データにフィルターをかけノイズの影響を軽減させる方法について検討することができた。 患者データにおいては、健常領域と虚血領域で入力関数到達時刻の遅延の可能性を検討し、有意な遅延があることを確認し、本方法の有効性を評価した。 シミュレーションにおいて入力関数の遅延時間の影響とその補正法の有効性についてもデータを得た。 以上、本年度において計画していた課題を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き、誤差要因の検討と補正法の開発、およびシミュレーションによる検討を行う。また検査データの解析とシミュレーションの結果を合わせて検討を行う。 また、脳血管の動脈、毛細血管、静脈の分画について生理的側面からの検討を行う。現在、PET検査による脳酸素代謝量の計算に於いてCBV検査からの補正では、脳灰白質の動脈の分画は16%であるという仮定に基づいている。しかしこの値はヒトの脳の測定によるものではなく、また、健常者で30%であるという報告もある。本研究の検査法では全血管成分を反映したCBV、動脈成分のみ反映したVA、動脈と酸素摂取率をかけた静脈の一部を反映したV0という3つの情報を同時に得ることができる。これら3つの情報から脳内の血管を構成する分画について検討する。これらの検討から、健常者に於ける血管分画、患者においては重症度の程度と血管分画の拡張・収縮という変動の程度について評価する、すなわち、新しい病態の把握法について検討する。 これらと並行して、脳血液量に関する他の方法による研究結果と比較する。患者においては重症度の程度と血管分画の拡張・収縮という変動の程度(全員)について評価し、病態の把握法について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像処理およびシミュレーションのためのPCおよびソフト購入し研究を効率化させる。また画像データの保存のためデータストレージを購入する。 成果の発表のため、欧州核医学会(フランス国リヨン)へ出張予定である。成果発表のためスーパーファイン紙、学会参加費などの諸経費が必要である。また月一回程度国立循環器病センターとの研究打ち合わせのため出張する。
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