研究課題
Helicobacter pylori感染によって引き起こされる特発性血小板減少性紫斑病(以下、H. pylori関連ITP)の発症メカニズムとしてH. pylori菌体膜蛋白-血小板-抗血小板抗体の免疫複合体が関与する可能性を示唆しており、血小板に結合するH. pylori菌体膜蛋白の本疾患発症における機能解析を行った。H. pylori菌体膜蛋白遺伝子の遺伝子変異株を作成して得たリコンビナント蛋白を用い、患者血清との反応性をウエスタンブロットで確認した結果、H. pylori関連ITP患者では非H. pylori関連ITP患者よりもH. pylori菌体膜蛋白に対する抗体保有率が高い結果を得た。H. pyloriの標準株および臨床分離株におけるH. pylori菌体膜蛋白遺伝子を多くの株が有していることを確認した。また、H. pylori菌体膜蛋白に対する抗体を作成し解析した結果、H. pylori菌体膜蛋白はほとんどの株が有していた。H. pylori感染からITP発症に至るより現実的な臨床経過・経緯の観察と解析を行うために、実験動物を用いたH. pylori関連ITP発症モデルマウスの作成を試みた。マウスにH. pyloriを感染させ、血小板および脾臓におけるH. pylori菌体膜蛋白の検出を免疫学的に行った。しかしながら、H. pyloriを感染したマウスの血小板および脾臓から本蛋白は検出できなかった。これまでの結果から、H. pylori菌体膜蛋白は多くの株が有しているにも関わらずH. pylori感染患者の一部のみITPが発症することや、動物実験で再現できなかったことは、個々患者の免疫システムにおいて複雑に関与していることが示唆された。
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Journal of Clinical Laboratory Analysis
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10.1002/jcla.21758