研究課題/領域番号 |
23590680
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
飯島 幹雄 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00305111)
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キーワード | イムノクロマト法 / アスパラギン酸・グルタミン酸輸送体 |
研究概要 |
ヒトの高アンモニア血症の一つである成人発症II型シトルリン血症の原因遺伝子産物シトリンの欠損は、新生児期において特異な新生児肝炎を引き起こす。新生児期のシトリン欠損症の診断には、濾紙血からの遺伝子診断が重要であるが、約10%の患者を補足する ことができない。遺伝子診断を補完するものとして、シトリンタンパク質の検出も、生検肝、末梢血、初代培養線維芽細胞を対象におこなってきた。しかし、患者への負担や、検出までに多くの時間と手間がかかるため、その利用はあまり進んでいない。そこで、シト リンタンパク質を検出する迅速簡易診断法を確立し、診断や遺伝学的研究に活用することを目的とする。これにより、通常の高アンモニア血症の治療戦略である低タンパク質高糖質食摂取やグリセオール投与が、シトリン欠損症においては症状が改善せず、かえって悪 化させ死に至る場合があるという問題に、簡便で迅速な診断手段を提供することができ、近年明らかになったシトリン欠損症に対する治療戦略を患者が明確に受けることができるという、患者にとって大きな利点を提供することができる。 本年度は、イムノクロマト法による検出のためのポリクロナール抗体の作製と選択をおこなった。また、得られたポリクロナール抗体を用いてイムノクロマト測定系の試作品を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究では、シトリンタンパク質検出のためのイムノクロマト測定系試作品の作製は達成できたが、その有効性の検証が計画より遅れている。また、イムノクロマト法の改善に有用と思われるマウスモノクロナール抗体の作製が遅れているため、本検出手段の改善は、最終年度である次年度に持ち越しとなった。 以上より、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究期間で、イムノクロマトの試作品を作製できたので、最終年度である次年度では、以下の三項目をおこなう。 1)イムノクロマト法の改善の為に有用と思われるマウスモノクロナール抗体の作製と選定と進める。 2)試作したイムノクロマト測定系によるシトリンタンパク質の検出評価をおこない、有用性の確立を進める。 3)シトリンタンパク質検出の為のイムノクロマト測定系の改善を進め、完成品の作製をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の達成のためには、イムノクロマト法に利用できるモノクロナール抗体が重要である。モノクロナール抗体作製は外部業者に委託する計画で進行しているが、作製までに当初予定より時間が掛かり、作製終了が次年度に繰り越しとなった為、モノクロナール抗体作製に充当する予定額とそれに伴い必要となる試薬代等が次年度に繰り越しとなった。次年度では、モノクロナール抗体作製とそれに伴った試薬等の消耗品支払に繰り越し金を充当する。次年度予定分は、当初計画にあるようにシトリンタンパク質検出のためのイムノクロマト測定系を臨床応用するための、検出力評価、手順書作製と完成品作製に充当し、当初計画を遂行する。
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