研究課題/領域番号 |
23590682
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
前北 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326358)
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研究分担者 |
一瀬 雅夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50143425)
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キーワード | エピジェネティッ ク / 胃癌 / リスクマーカー / DNAメチル化異常 / H. pylori |
研究概要 |
胃癌発生に関して、胃癌多発地域のメインルートと考えられているatrophy-metplasia- cancer sequenceの過程でのエピジェネティッ クな現象の一つであるDNAメチル化異常に着目し、検討を行った。胃粘膜DNAのメチル化変化を検討し、胃発癌リスクを反映する事が 、想定される遺伝子領域を検索する。一般に、H.pylori感染者は非感染者の2.2~21倍の胃癌リスク上昇があると報告されている(Corr ea P. et al:Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 14: 1865-1868, 2005 )が、その発癌メカニズムの詳細は依然として不明であり、 特にepigeneticな変化についての検討は緒に付いたばかりである。現在、除菌療法の胃癌発生抑制効果が報告されているが、除菌前後 におけるヒト胃粘膜のDNAメチル化について癌抑制遺伝子領域を中心に経時的に測定し、H.pylori感染のメチル化に及ぼす影響を検討 すことを目的としている。 本年は、胃癌およびいろいろな程度の萎縮性胃炎患者の内視鏡検査による生検検体の収集を行い、一部データ解析し、"Altered mucosal DNA methylation in parallel with highly active Helicobacter pylori-related gastritis"として研究成果の一部をGastric Cancer誌に共著者として報告した。DNAメチル化異常の胃癌リスクマーカーとしての可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部データ解析し、"Altered mucosal DNA methylation in parallel with highly active Helicobacter pylori-related gastritis."として研究成果の一部をGastric Cancer誌に共著者として報告し順調に進んでいるが、もっと有効なリスクマーカーの探索が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに採取した内視鏡胃粘膜検体を精力的に処理、解析していく予定である。申請者らが、これまでに明らかにしたCDKN2A, HA ND1のプロモーター領域をはじめとする胃発癌に伴うメチル化変化部位、8遺伝子領域などに関して、胃癌発生リスクマーカーとしての意義 を検討するために、これら遺伝子領域のメチル化レベルと胃粘膜病理組織所見(特に、胃炎の活動度、胃粘膜萎縮・腸上皮化生の有無 )との関連、胃発癌の各段階、特にH.pylori感染症の進展、除菌との関連について詳細な検討を行う予定である。さらに有効なリスクマーカーの探索を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
検体処理のための試薬や備品を購入する予定である。検体の処理が追いつかない場合は、研究補助員を雇用をする予定である。
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