研究課題/領域番号 |
23590688
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
松島 早月 杏林大学, 医学部, その他 (80231596)
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研究分担者 |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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キーワード | 非結核性抗酸菌 / rpoB / mycobacterium kyorinense |
研究概要 |
平成24年度は、研究計画に基づき、以下の研究を実施した。 【1】Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の耐性・感染性についての検討 昨年に引き続き、M. kyorinense感染症の報告が国内で相次ぎ、現在すでに12菌株を入手できた。また、初めて国外でもブラジルからM. kyorinense感染症の報告があり、遺伝子解析において協力し、共著者として論文としてJournal of Clinical Microbiology誌に公表された。一方、これらのM.kyorinense株の臨床像、薬剤感受性、および薬剤耐性遺伝子について解析したところ、1)呼吸器感染症が多くみられるが、関節炎やリンパ節炎も生じること、2)全例が抗結核薬、特にリファンピシンに耐性であること、3)リファンピシン耐性に関与するrpoB遺伝子は全例で配列が一致し、結核においてリファンピシン耐性に関与する部位に塩基置換がみられること、などを明らかにした。この結果は、Emerging Infectious Diseases誌に公表された。その他の非定型抗酸菌の菌株についても、感受性試験や薬剤感受性遺伝子についての検討を進めている。 【2】新規・希少非定型抗酸菌の同定 院内における呼吸器感染患者の上・下気道検体の抗酸菌培養については、院内の関係部署との連携が得られ、現在実施中である。現在のところ、既存の菌と一致しない不明菌は検出されていない。今後は抗酸菌培養の範囲を増やし、一方で培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の耐性・感染性についての検討については、M. kyorinenseの菌株を多数入手でき、その解析結果についてすでに2報の論文を公表できている。その他の非定型抗酸菌の菌株についても、感受性試験や薬剤感受性遺伝子についての検討は順調に進行している。 一方、新規・希少非定型抗酸菌の同定については、現在のところ、既存の菌と一致しない不明菌は検出されておらず、抗酸菌培養の範囲の拡大や、培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の他の薬剤耐性遺伝子についての検討を進め、薬剤感受性との関連について明らかにする予定である。 新規・希少非定型抗酸菌の同定については、院内での培養体制の構築を目指す一方、抗酸菌培養の範囲の拡大や、培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に新規抗酸菌が同定されなかったため、解析費用が不要となり繰り越しされた。これらの研究費は、上記計画の推進のため、非結核性抗酸菌の菌株の入手およびその遺伝子解析試薬の購入に主に研究費を使用する予定である。
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