研究課題/領域番号 |
23590689
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
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研究分担者 |
平山 哲 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10345506)
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (30410228)
大和 進 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60057370)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 栄養サポートチーム / 脂質検査 / 炎症 / 血中半減期 / オキシステロール |
研究概要 |
【背 景】NST(Nutrition support team)による栄養評価には、主観的包括的アセスメント法がしばしば使用される。本法は簡便であるが、客観性に乏しいという欠点がある。そこで、実地診療では、臨床検査値を栄養評価の参考にしている場合が多い。アルブミン(ALB)値は、総コレステロール値(TC)、総リンパ球数(TLC)と共に、しばしば栄養評価に用いられる検査値である。しかし、ALB測定法には改良BCP法とBCG法があり、後者は栄養状態だけでなく炎症時に影響を受けやすく、測定値が実際より低くなることが指摘されている。【対 象】順天堂医院入院中でNSTに評価の依頼があった44例のうち栄養介入を行った27例(62.9 ± 21.6歳)と、健常人30例(60.6 ± 9.7)を対象とした。【方 法】患者群は、炎症反応の推移より炎症改善群、炎症持続群、非炎症群の3群(各9例ずつ)に分けた。栄養介入を行う前と、介入後の栄養状態をCONUTスコア(ALB値、リンパ球数、総コレステロール値から算出)で比較した。ALB値は改良BCP法とBCG法で測定した。【結 果】改良BCP法とBCG法によるALB値の差は、CRPと正相関を示した(r=0.59, p<0.0001)。栄養介入により3群ともCONUTスコアは改善したが、非炎症群ではALB測定法の違いによるスコアの差はなかった。一方、炎症持続群では、BCG法を使ったスコアは改良BCP法を使ったスコアより常に低く、栄養状態を過大評価した(スコア低値=栄養状態良好)。炎症改善群では、両スコアの差は経過とともに縮小・消失した。【結 論】改良BCP法とBCG法によるALB値は、炎症が存在すると乖離が生じ、結果的にCONUTスコアに影響を与える。NSTの栄養指標にALB値を用いるときは、炎症の有無の影響のない改良BCP法を用いるべきである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、栄養評価に一般的に使用されている総コレステロールとアルブミンを栄養マーカーとして、測定法の違いよる炎症の影響を検討した。NSTにおける検査値の問題点が明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、栄養状況栄養状態を反映するが炎症の影響を受けにくい脂質項目がどれかを、血中のオキシステロールとの関係から明らかにする。オキシステロールのうち、植物ステロールは体内で合成されず、すべて食事由来となっている。また、コレステロールの前駆体のスクアレンやラソステロールは、肝臓でのコレステロール合成の過程で作られて血中に検出される。よって、食事や体内での合成が、一般的に検査されている脂質項目に影響するかを知ることができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
オキシステロールや合成マーカー測定の基礎的検討は終えたが、実際の患者検体の測定をまだ開始していないため、次年度の研究費と合わせて両者の測定を行うために研究費を支出する予定である。
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