研究課題/領域番号 |
23590690
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐野 佳弘 昭和大学, 薬学部, 講師 (40338538)
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研究分担者 |
荒川 秀俊 昭和大学, 薬学部, 教授 (70129807)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アプタマー / ペプチドホルモン / オキシトシン / 臨床検査 / 血中濃度測定 / アスペルガー症候群 / 精神疾患 |
研究概要 |
本研究は、アプタマーによるペプチドホルモンオキシトシン(OXT)高感度測定法の構築とその臨床応用を目的としている。今年度は、研究実施計画に掲げている競合イムノアッセイへの応用について検討した。つまり、酵素免疫測定法 (Enzyme immunoassay : EIA) で用いる抗体の代わりとしてアプタマーを適応し応用する計画である。そこで、アプタマー創製を検討する前に研究実施計画に基づきOXT測定に適するEIA構築を検討した。抗OXT抗体を用いた競合EIAを原理とし条件検討を行った結果、平均CV値3.90%と良好な検量線を得ることに成功した。また、検量域は5.0 - 500 pg/assay、検出限界は1.0 pg/assayであった。この検出感度は、現行市販されているOXT EIAキットとほぼ同程度である。さらに、OXTと非常に構造が類似しているペプチドホルモンであるArgバソプレシン(AVP)、Lysバソプレシン(LVP)、バソトシン(VT)について交差反応性を確認した結果、全てにおいて0.01%以下(B/B0 50%値による比較)であった。これらの結果より、今回構築したEIAには交差反応性がなくOXTを特異的に測定するEIA確立が達成された。現在、このEIAに適用するアプタマーの創製を検討している。平成24年度以降は、研究実施計画を基に臨床応用に適応可能なOXT反応性アプタマーをSELEX法により創製しOXT高感度測定法の構築を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画としてオキシトシン(OXT)反応性RNAアプタマーの創製、平成24年度の研究実施計画としてOXT反応性アプタマーによる分析法の開発を挙げている。平成23年度では平成24年度計画であるアプタマーの競合イムノアッセイへの応用への適応を目指し、OXT競合酵素免疫測定法構築を検討し達成した。次に平成23年度計画にあるOXT反応性アプタマーの創製を検討しているが、現在のところ予定通りに研究が進んでいる。以上より、平成24年度計画を一部前倒しして準備出来ていることからも本研究課題研究実施計画をおおむね順調に遂行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画を基に遂行する。平成23年度より実施しているオキシトシン(OXT)反応性アプタマーの創製を達成し、平成24年度実施予定である(1)マイクロチップ電気泳動による定量法や(2)表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた測定法、(3)競合イムノアッセイへの応用にアプタマーを適応し検討する予定である。(1)マイクロチップ電気泳動による定量法については、K. Ohno, C. Nakata, Y. Sano, F. Nishikawa, S. Nishikawa and H. Arakawa, Current Chemical Genomics, 2012ですでに構築している方法を基に検討を進める。(2)SPRを用いた測定法では、代表的なアプタマーとして知られているトロンビン結合アプタマーを用いて基礎的なデータを得てからその条件を基にOXT反応性アプタマーへ応用する予定である。(3)競合イムノアッセイへの応用に関しては、平成23年度に構築したOXT EIAを用いてその抗OXT抗体の代わりとしてアプタマーを適応させる計画である。また、平成25年度では、アプタマーを用いた臨床応用を計画していることから、研究に用いる臨床検体の準備を平成24年度に行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に申告している研究費は、マイクロチップ電気泳動におけるマイクロチップまた、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサーチップ、競合イムノアッセイにおいては抗OXT抗体やその二次抗体、またSELEX法を含むその他の消耗品費を主に計画し申告している。また、得られた研究結果の発表を国内、または国外で行うことも予定している。研究の進捗状況によっては、アプタマー研究を行っている国内外の研究者とのミーティングなどが必要になると考え、その費用にも用いる予定である。
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