研究課題/領域番号 |
23590695
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
坂本 秀生 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (30225817)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Cables / 腫瘍抑制効果 / アポトーシス |
研究概要 |
本研究では細胞内におけるCables量の変化がいかなるメカニズムで起こるか、ひいてはCablesが起こすアポトーシスの機序を解明することである。このためにはCables発現が低い細胞を用いなければ、Cables発現量が増えた際の影響を的確に判断することが出来ず、本研究を遂行する上で細胞内Cables発現の把握重要である。そこで本研究の初年度は株化されたヒト卵巣がん由来培養細胞を用い、本研究を遂行する基盤となる実験を進めた。 具体的には、異なった複数の細胞を用いてそれぞれの細胞におけるCables発現量を確認するため、抗Cables抗体を用いたウエスタンブロット法によるタンパク質レベルの測定系を確立、RT-PCRによるmRNA発現量測定系の確立である。異なった培養細胞でCables発現量を確認した結果、これらの基礎的な実験を通してCables発現量の少ない細胞を選出し、Cables誘導システムの構築も開始することが可能となった。 また、Cables発現量調節機能解明のため、Cablesプロモーター活性の測定が研究遂行に有益である。プロモーター活性の測定に必須な超高感度マルチプレートリーダーを本研究費で購入でき、新規機器にあわせたCablesプロモーター活性測定系の条件設定を開始することが出来た。プロモーター活性測定では再現性を求めるため、同一条件での測定環境を整える事が重要であり、超高感度マルチプレートリーダーの導入によりCablesプロモーターに関する研究も推進できる事となった。 初年度は上記のように本研究を遂行する上で、基礎となる手法の確立を行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はCablesプロモーター活性の測定条件を定め、本研究計画の基礎を築くことである。これまではプロモーター活性を行う術が無かったが、超高感度マルチプレートリーダーが導入されたことにより、研究を順調に開始することが出来た。 培養細胞を用いたCables誘導システムの構築に関しては、まずはサイクリン量依存に活性が増減する制御性活性化因子(Tet-on)を安定的に発現する細胞を作成し、同細胞にTet-on量によってCables発現が変化する遺伝子(TRE- Cables)を導入した二重遺伝子発現細胞を作成せねばならない。このことは計画当初から時間がかかることを予想しており、これも予定通りである。 初年度としては上記のように研究を展開する上で、基礎を築く期間であり、おおむね順調に計画が進んでいると判断出来る。
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今後の研究の推進方策 |
Cables発現調整に関わる因子の同定は、当初の計画に従い、Cablesプロモーター活性の変化から、Cables発現の転写調整因子が結合する部位を同定後、該当部に結合する物質を同定する。具体的には複数の転写因子データベースを用い、該当部位へ結合が予想されるヒト転写因子群の標的遺伝子の候補を絞り、クロマチン免疫沈降法による解析を計画している。 ChIP法では、ホルマリンにて生細胞を処理し、タンパク複合体をDNAに結合した状態で固定する事が可能である。その後、候補タンパクへの抗体を用いて、タンパクDNA複合体を免疫沈降する。沈降物をテンプレートにし、23年度の研究成果を元に転写調整物質が結合する部位を含んだ領域のDNAを増幅するプライマーを設計しPCRを行う。増幅バンドの有無から用いた抗体の抗原タンパクへの結合の有無を知ることが出来る。Cablesが関与するアポトーシスに関しては、平成23年度から継続している、テトラサイクリンによるタンパク質発現誘導システムを完成し活用する。 すでにサイクリン量依存に活性が増減する制御性活性化因子を安定的に発現する細胞を作成開始しており、この細胞に制御性活性化因子としてテトラサイクリン量によってCables発現が変化する遺伝子を導入した二重遺伝子発現細胞を完成させる。このモデルを作成することで、細胞内でCables発現量を自在に誘導可能となり、Cables発現量をタンパク質としてウエスタンブロット法で確認できるので。成果として、細胞周期を抑制する程度のCables量の推定、Cable量を増加してアポトーシスを起こす前後で変動する物質の同定からCablesが関与するアポトーシス経路を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用予定の研究費は大部分が試薬などの消耗品である。消耗品の中でも高額な試薬として抗Cables抗体の作成費用がある。抗Cables抗体は市販されているが、いずれもウェスタンブロッティングでは機能せず、従来より抗体をカスタムオーダーして作成している。これまでに作成した抗体がすでに無くなりつつあるので、新たにカスタムオーダーして作成する予定であり、抗体作成費用に20万円程の使用を予定している。その他の消耗品としては、プロモーター活性測定用試薬、細胞培養の培地や血清、ウエスタンブロット用のゲルやメンブレン等を予定している。 また、成果発表及び情報収集などのために約10万円程の旅費も計画している。 これら全ての研究費の使用計画は、抗体作成費用を除き、申請時に行った計画にほぼ沿った内容である。
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