Cables発現調整に関わる機能解明を行うため、プロモーター活性の変化から研究を行ってきた。マウスでは性周期によってCablesの発現が変化するとの研究者らの過去の経験から、性周期によって生体での濃度が変化するエストロゲン、プロゲステロン、PKA賦活化作用のあるForskolin、PKC賦活化作用のあるPMAにて4種類のヒト卵巣がん由来培養細胞を刺激して研究を遂行した。その結果、クルッケンベルグ腫瘍由来の細胞でのみForskolinによるAキナーゼ賦活化が確認された。cAMPを培養液に添加しても細胞内に取り込まれず優位な上昇は無かったが、細胞内に取り込まれるdbcAMPでは優位にプロモーター活性が上昇し、細胞内でのcAMP上昇がCablesプロモーター活性調節に関与していることを明らかにした。 Cablesによる細胞内アポトーシス誘導を確認するため、Cables発現量を任意に調整できるテトラサイクリン発現誘導システムを構築しようと試み、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子を恒常発現し、あわせてテトラサイクリン応答因子の二重恒常発現する細胞株を樹立し、テトラサイクリン刺激によってコントロールのルシフェラーゼ活性を数百倍以上、上昇させるクローンを複数得た。このクローン細胞にテトラサイクリン応答因子とCables遺伝子を組み込んだ二重恒常発現細胞株の作成に挑んでいる。 二重恒常発現細胞株を年度内に作成できなかったことから、外来性のCables増加により細胞のアポトーシスを数値化しようと試み、Cables遺伝子を細胞導入後、細胞内でアポトーシスの実行に関わるとされる、カスパーゼ3、7活性が外来性Cables量依存的に上昇し、Cablesがアポトーシスを引き起こすことを確認した。
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