研究課題/領域番号 |
23590697
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
松永 洋一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80239053)
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研究分担者 |
末永 みどり 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00389181)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
上原 吉就 福岡大学, 医学部, 講師 (70373149)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドベータ蛋白 / ビタミンD2 / ビタミンD3 / オリゴマー形成 / 脳内蛋白異常凝集 / ベータシート形成 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)は脳内での異常凝集アミロイドベータ蛋白(A-beta)が主要病因とされている。最近、患者血中ビタミンD3(VD3)が健常者より低値であることが報告されでいるが、A-beta異常凝集メカニズムへの関与へは明らかでない。我々はVD3と異なり体内合成できず、経口摂取のみで体内へ取り込み可能なVD2がA-beta異常凝集に影響を及ぼす可能性を検討した。予想に反し、Surface plasmon resonanceにより、高濃度VD2はA-beta40と強力な結合を示するがVD3とは結合しない、また色素(Thioflavin-T)との結合性から、VD2はベータシート構造形成を促進させるがVD3にはこのような作用がないことが明らかになった。VD2とVD3の構造上の相違点はC22-C23間の二重結合の有無り、MOEを用いた結合シミュレーションでは、VD2のC22-C23がA-beta40の19番目Pheと結合することが示唆された。更に、蛋白電気泳動でVD2はA-beta40のオリゴマー形成を促進することを解明した。これらの研究成果は、A-beta40蛋白凝集メカニズムに19番目のPheが関与していることを示唆するものであり、今後、19番目Pheが異常凝集阻止法の標的アミノ酸として意義を有することを解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初の実験計画は、ほぼ予定通りに遂行でき、一定の研究成果が得られた。 特に、アミロイドベータ蛋白に対するビタミンD2とビタミンD3の結合性の違い、および、その理由が解明できたことは、大変意義が大きい。ただ、ビタミンDは一種のステロイド(セコステロイド)であり、生体投与では、核内遺伝子を介した影響も考えられ細胞を用いた実験が必要であるが、この点に関しては未だ遂行できていない。今後の研究課題である。
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今後の研究の推進方策 |
1.ビタミンD2の細胞学的影響を検討する。特に、核内遺伝子への影響としてアミロ イドベータの前駆蛋白であるAPPamyloid precursor protein発現の及ぼす影響につ いて検討する。 2.アミロイドベータ蛋白19番目アミノ酸であるPhe近傍に結合可能で、かつアミロイ ドベータ蛋白同士の結合を阻止できる化合物を、V-D2の構造をヒントにデザインす る。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.V-D2をヒントとしてデザインした新規化合物を作成する。 2.マウスを用いて、生物体内での実際の影響について検討する。
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