研究実績の概要 |
H21~22年度挑戦的萌芽研究(2165151)にて、病理組織染色法により膵腺房細胞癌の診断や膵癌膵液に反応性が強く膵癌診断に有用性がある膵癌膵液特異的単クローン抗体(2P1-2-1,2P-1-17-1,6P-3-2-4など)を樹立した。これらの抗体の臨床応用の1つに、抗原の高感度検出系の確立がある。この検出系の確立には、抗体認識抗原の同定と新規抗体の作製が必須である。この検出系確立を目的として、抗原陽性細胞株由来cDNAライブラリーの作製および抗原の免疫沈降法による精製とLC-MS/MS解析による候補分子の同定を試みた。前年度まで6P3-2-4および2P-2-1-17-1の認識抗原がそれぞれTn抗原とシアリルルイス-aである事を合成抗原および抗原の酵素処理操作後の影響をELISA法とウエスタンブロティング法にて確定した。また2P1-2-1の抗原分子解析を目的とした、哺乳類発現ベクター使用によるcDNAライブラリー作製に関しては、数回の試みを行ったが十分量のライブラリーサイズを得ることができず、既に作製したライブラリーを用いたExpression Cloningにも成功しなかったため、最終年度は抗原の精製によるLC/MS/MSでの解析を主体として研究を実施した。精製度の高い抗体精製を目的として、抗体の生物活性に影響がない方法であるイオン交換カラムとゲル濾過法を用いて高純度の抗体を精製した。精製後プロテインG標識磁気ビーズにて免疫沈降物をSDS-PAGEにて展開後、島津テクノリサーチによるLC-MS/MS解析より、sore 828にてbile salt-dependent lipase oncofetal isoform(約100kDa)を含むcholesterol esteraseが検出された。現在、リコンビナント蛋白による抗体反応性を確認している。
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