研究課題/領域番号 |
23590699
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
瀬川 波子 福岡大学, 医学部, 准教授 (80352251)
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研究分担者 |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
松永 彰 福岡大学, 医学部, 教授 (60221587)
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | HDL治療 / 動物実験 / LDL亜分画 |
研究概要 |
アポリポ蛋白A-I模倣ペプチドとリン脂質複合体の低比重リポ蛋白亜分画に及ぼす効果血中低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール高値と高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール低値は虚血心疾患の独立した危険因子である。酸化LDL、糖化LDL、小粒子LDLなどの変性LDLは動脈硬化惹起性リポ蛋白であり、電気泳動移動度が増加するという共通の特徴がある。HDL粒子の中、主にリン脂質とアポA-Iからなるpre-β HDLは高いコレステロールの引き抜き能を持つ。本研究は家族性コレステロール血症の動物モデルであるWHHLウサギにおいて、22個のアミノ酸からなるアポリポ蛋白A-I模倣ペプチドとリン脂質の複合体(ETC-642)である合成HDLのLDL亜分画に対する影響を検討した。WHHLウサギ21匹を対照群(n=8)、ETC-642低用量群(n=5)と高用量群(n=8)に分け、ETC-642投与前、投与後1、2、3ヶ月に採血した。LDLの荷電及びサイズによる亜分画は、それぞれキャピラリー等速電気泳動(cITP)法及び定量超遠心法によって分析した。WHHLウサギでは、電気泳動移動度の速いLDLと小粒子LDLが著明に増加するという特徴的なLDL亜分画分布を示した。速移動性LDL(fLDL)、超速移動性LDL(vfLDL)と超超速移動性LDL(vvfLDL)の順に高い値を示した。ETC-642投与はvvfLDLと小粒子LDLを減少し、vfLDLと大粒子LDLを増加した。このことから、ETC-642はLDLをリモデリングし、LDLの質を改善したことが示された。その機序は不明だが、血中酸化脂質が減少した可能性がある。LDL亜分画の変化は、血管内超音波により計測したWHHLウサギ大腿動脈プラーク体積と相関した。LDLの質的改善は、合成HDLの抗動脈硬化作用の新しい機序として考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H23度に計画した"WHHLウサギにおける合成HDLのLDLの質(サイズと荷電亜分画)に及ぼす影響の検討"は予定通りに終了した。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度にメタボリックシンドローム(MetS)患者におけるcITPリポ蛋白亜分画と内臓脂肪量との関連を検討する。H25年度に冠動脈疾患(CHD)患者におけるcITPリポ蛋白亜分画と冠動脈狭窄との関連の検討をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
H23年度で終了した"WHHLウサギにおける合成HDLのLDLの質(サイズと荷電亜分画)に及ぼす影響の検討"の研究では、ウサギの購入費用及び合成HDLの作成費用は、共同研究を組んだことによって節約ができ、繰越金が生じた。繰越金と翌年度以降に請求する研究費は、"メタボリックシンドローム(MetS)患者におけるcITPリポ蛋白亜分画と内臓脂肪量との関連"及び"冠動脈疾患(CHD)患者におけるcITPリポ蛋白亜分画と冠動脈狭窄との関連"という課題の検討に使用する。主にキャピラリー等速電気泳動(cITP)法と超遠心法によるリポ蛋白分析などの測定と測定薬品に使用する。
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