研究課題/領域番号 |
23590702
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
尾田 高志 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (90531187)
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研究分担者 |
熊谷 裕生 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科進学課程, 准教授 (50170048)
櫻井 裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科進学課程, 教授 (00235227)
山上 和夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科進学課程, 准教授 (20531437)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 尿解析 / 腎疾患診断 |
研究概要 |
腎生検に比較し、尿検査は非侵襲的で、腎臓全体の状況を反映して変化する可能性から診断・予後判定上の有用性が考えられるため、尿沈渣中の細胞成分や尿上清中の蛋白質を解析することにより、より正確で安全な腎疾患の診断や予後判定を確立することを目的として研究を進めている。初年度は、まず各種腎疾患患者の尿サンプルを採集し、適切に処理し、保存することを進めた。サンプルは順調に採取できており、まもなく目標数に到達できそうである。さらに、尿沈渣中の細胞の同定に使用可能な抗体を、一部のサイトスピンスライドを用いて、実際に蛍光免疫細胞染色を実施して選定した。これにより、マクロファージ、好中球、尿細管上皮細胞、ボーマンのう上皮細胞、足細胞(ポドサイト) などのマーカーとして使用する抗体を決定できた。今後、これらマーカーを用いて、採取・保存中のすべての尿サンプルに関して、尿沈渣細胞の分画割合を蛍光免疫細胞染色にて評価する。尿沈渣細胞に関しては、浮遊させてFACSによる解析も予定していたが、パイロット的に実施したところ、死細胞が多いためか、陽性、陰性の判定が困難な状況で、解析を進めるには死細胞などを除去する工夫が必要だと思われる。パイロットスタディーの結果で選択したマーカー分子は、さらにそのmRNA発現をreal time RT-PCR法により定量することにより蛍光免疫細胞染色の結果との相関性を確認する予定である。最終的には、これらの結果と、臨床検査所見・腎生検組織所見から評価した腎疾患の診断や活動性との関連を検討し、臨床応用を考え、検討したマーカーのなかで、腎疾患の診断や病状・予後判定に有用な解析を選び出し、中でも感度・特異度の面から最も有効で、簡易な尿検査法の組み合わせを決定する予定である。これは、より安全で効果的な、腎疾患治療体系の確立につながることから、非常に意義深いものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定は、平成23年から3年をかけて、解析する尿サンプルを採集、保存することとし、サンプル数の目標は150例としていた。尿サンプルの採集、処理、保存は、予定よりも早く、順調に進んでおり、まもなく目標数に到達できそうである。さらに、尿沈渣中の細胞の同定に使用可能な抗体を、一部のサイトスピンスライドを用いて、実際に蛍光免疫細胞染色を実施して選定した。これにより、マクロファージ、好中球、尿細管上皮細胞、ボーマンのう上皮細胞、足細胞(ポドサイト) などのマーカーとして使用する抗体を予定通り、決定できた。尿沈渣細胞に関しては、浮遊させてFACSによる解析も予定していたが、こちらは、パイロット的に実施したところ、死細胞が多いためか、陽性、陰性の判定が困難な状況で、解析を進めるには死細胞などを除去する工夫が必要だと思われる。今後の検討が必要である。パイロットスタディーの結果で選択したマーカー分子は、さらにそのmRNA発現をreal time RT-PCR法により定量することにより蛍光免疫細胞染色の結果との相関性を確認する予定であり、一部のサンプルに関して、沈渣細胞からtotal RNAを抽出し、RT-PCRに使用できることを確認できた。尿上清中の蛋白の解析は、まだ実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
尿沈渣細胞のFACSによる解析は、死細胞が多いためか、陽性、陰性の判定が困難な状況で、死細胞などを除去する前処置をしたあとに解析するなどの工夫をしてみる予定である。パイロットスタディーの結果で選択したマーカー分子は、さらにそのmRNA発現をreal time RT-PCR法により定量することにより蛍光免疫細胞染色の結果との相関性を確認する予定である。。一方、尿上清に関しても、PAI-1, TIMP-1, Nephrinなどの蛋白量のWestern blotting法による評価や、プロテアーゼ活性の解析などに関して、まずはパイロットスタディーを実施してみる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、大量のサンプルに関して、蛍光抗体染色、real time RT-PCRを実施する予定で、これらに必要な、抗体、primer/probe、反応試薬、酵素などの消耗品に約100万円、情報入手のため、図書・雑誌に約30万円、国内・国際学会参加費として約50万円、合計約180万円を使用する予定である。
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