研究課題
血中腫瘍マーカーの開発はその簡便性や低浸潤性により、癌の診断学に対して多大な期待を示す。循環血液や尿等の体液中における発見により、microRNAは体液中の腫瘍マーカー・バイオマーカーとなる可能性がある。microRNAが体液中で安定に検出される理由は、細胞から分泌されるエクソソームに封入されることで、酵素からの分解を受けないためと言われる。エクソソームは培養細胞の上清液にも存在することが知られ、申請者らは培養細胞のセクレトーム解析を基盤手法として上清液中のmicroRNAを網羅的解析した結果、胃癌高転移細胞株AZ-P7aにおいてlet-7 microRNA familyがエクソソームを介して特異的に細胞外に放出することを見出した。さらに細胞内外画分では異なるmicroRNAプロファイリングを認めたことは、組織分析によりマーカー候補となったmicroRNAが必ずしも血清等の体液中で検出されないことを示唆した。本研究では、こうした知見をもとに、血液中の循環microRNAを分析対象とした新しい腫瘍マーカーの開発を行うことを目的として平成23年度にスタートした。前年度(平成24年度)までに見出したスキルス胃癌特異的エクソソームmicroRNA群に続き、平成25年度では膵癌に対して特異的なmicroRNAプロファイルを見出した。一方、microRNA分析と並行して行っているエクソソームタンパク質のプロテオーム解析により、前年度までに十二指腸癌細胞株の転移性株由来エクソソームにおいて、PABP1タンパク質が特異的に見出されることを明らかにしたが、平成25年度では、その転移性における特異的なエクソソームを介したPABP1の細胞外放出機構の一端を解明した。さらに、膵癌細胞株に対するプロファイリングを行い、高転移性株由来エクソソームにおけるEps8タンパク質の放出を見出した。
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