研究課題/領域番号 |
23590705
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
岩井 直温 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病態ゲノム医学部, 部長 (30242978)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロRNA / バイオマーカー |
研究概要 |
細胞特異的なマイクロRNAを見いだせば、その細胞の障害を特定することができる。細胞のマイクロRNAのプロファイルは、培養下と生体内で異なることが判明している。そこで、レーザーマイクロダイセクション法を用いて、特定の細胞のみを収集し、特定の細胞のマイクロRNAのプロファイリングを行っている。平成23年度は、生体内の各種筋肉細胞(骨格筋、心筋、血管平滑筋、消化管平滑筋など)と各種消化管粘膜細胞のプロファイリングを行った。これは、高齢化とともに増加しているが、良い診断バイオマーカーの存在しない虚血性腸梗塞を対象とするためである。消化管平滑筋に特異的なマイクロRNAは存在しなかったが、消化管平滑筋に比較的特異的なマイクロRNAと消化管粘膜に比較的特異的なマイクロRNAを見いだすことができ、両者を組み合わせることで、診断方法となり得ることを確定した。今後、虚血性腸梗塞モデルを作成し、実用性を確認し、ヒトへの応用も企画する予定である。低酸素で誘導されるマイクロRNAにmiR-210があるが、血漿miR-210が新たな心不全マーカーとなり得る可能性を検討している。心不全のモデル動物であるダール食塩感受性高血圧ラットにおいては、心不全期には、骨格筋などでのmiR-210の発現が高まり、血漿miR-210が増加することが確認された。今後、ヒトサンプルで検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、予想通りに進んでいるが、発現レベルの高い細胞特異的マイクロRNAは、予想よりは少ないことが判明してきた。複数のマイクロRNAの組み合わせで、病態診断を試みることになる。神経系に関しては、詳しい解析はこれからであり、期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
より多種類の細胞種に関してマイクロRNAのプロファイルを作成し、診断に役立つ特異的マイクロRNAの発見に努力する。特に神経系の変性疾患を、髄液中のマイクロRNAのプロファイリングにより診断できないか、検討したい。病態に伴い、特定の細胞内でのマイクロRNAのプロファイルが変化し、その変化が血漿中のマイクロRNAのプロファイルに反映される可能性もあるかもしれない。モデルケースとして、患者数が予想以上に多いとされる、脂肪肝を調べてみる。心不全のバイオマーカーの候補として血漿miR-210を調べてきたが、末梢単核球でのmiR-210の発現レベルも調査したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザーマイクロダイセクションの種々の消耗品マイクロRNA測定のための測定試薬、RNA精製試薬などの消耗品病態モデルを作成するためのラットやマウスなどの動物購入、飼育費
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