研究概要 |
血漿中に流出してくるmiRNAをバイオマーカーとして利用する試みを種々の病態を対象として行った。1)miR-210は低酸素で誘導されるmiRNAである。心不全患者の予後と血漿miR-210に相関関係があることを明らかとした。2)miR-216a, miR-216bは膵臓外分泌部で特異的に発現しているmiRNAである。膵炎モデルで血漿miR-216a及びmiR-216bは著明に上昇し、血清アミラーゼよりも鋭敏であった。3)筋肉細胞に特徴的なmiRNAとして、miR-1, miR-133a, miR-145, miR-133b, miR-208, miR-499などが知られている。心筋、骨格筋(遅筋・速筋)、平滑筋でこれらの発現パターンは異なることを明らかとした。血漿中の上昇パターンから、どのような筋細胞に障害があるのか特定が可能である。褐色脂肪細胞でのmiRNAの発現パターン解析から、褐色脂肪細胞が筋肉細胞に近いことを明らかとした。4)腎近位尿細管特異的に発現している尿酸トランスポーターSlc22a12のプロモーター領域は、近位尿細管特異的に脱メチル化されていることを確認した。近位尿細管障害で、近位尿細管由来ゲノムDNAが血漿中に流出することを検出するシステムを構築した。
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