研究課題/領域番号 |
23590708
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
天野 博雄 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70302487)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / 痒み / ストレス |
研究概要 |
拘束水浸ストレスであるwater avoidance stress を用い,マウスに精神的ストレスを加えた。はじめに、ストレスが適切に負荷されているか血清中のコルチコステロン値およびfecal pelletsを測定した。ストレス負荷により、コルチコステロン値およびfecal pellets の有意な上昇がみられた。次に、アトピー素因のあるモデルマウス(NC/Nga)にwater avoidance stress を負荷した。NC/Ngaにおいては、精神的なストレスを加えることで掻破行動が生じ、徐々にアトピー性皮膚炎様症状が惹起されることを確認した。アトピー性皮膚炎の素因を有しないBALB/c, C57BL/6, C3H/HeNマウスにおいてはストレスによる掻破行動は生じず、皮膚炎の発症も見られなかった。皮膚炎の評価には severity skin scoreを用い、皮膚組織の病理学的検討を行った。皮膚炎発症部位においては、表皮の肥厚、真皮上層の細胞浸潤、肥満細胞の増加が見られた。皮膚炎発症マウスでは血清IgEの上昇がみられ、脾細胞からのインターフェロンγ上昇があった。また、脳組織はレーザーマイクロダイセクション、皮膚組織はマルチビーズショッカーを用いて組織を破砕しアイソジェンを用いてmRNAを抽出した。次いで、real-time PCR法を用いてμ、κ-オピオイド、CRF受容体のmRNA発現量を測定した。ストレス負荷群ではμ、κ-オピオイド、CRF受容体のmRNA発現量が上昇したが、CRF負荷によりmRNA発現量の上昇は抑制される傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトピー素因のあるモデルマウス(NC/Nga)に精神的なストレスを加えることで掻破行動が生じ、徐々にアトピー性皮膚炎様症状が惹起されることが確認できた。アトピー性皮膚炎の素因を有しないBALB/c, C57BL/6, C3H/HeNマウスにおいてはストレスによる掻破行動は生じず、湿疹病変が生じないことが分かった。皮疹の増悪とともにIgEは上昇した脳組織はレーザーマイクロダイセクション、皮膚組織はマルチビーズショッカーを用いて組織を破砕しアイソジェンを用いてmRNAを抽出した。次いで、real-time PCR法を用いてμ、κ-オピオイド、CRF受容体のmRNA発現量を測定することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの脾臓、リンパ節から単核球を分離し、抗CD3抗体あるいはCon Aを用いて刺激し、産生されるサイトカイン量を比較検討する。また、フローサイトメトリーを用いて、制御性T細胞、B細胞、NK細胞などのプロファイルの変化、活性を含めて検討する。皮膚組織においても制御性T細胞、マスト細胞の浸潤の有無なども検討する。さらにCRF、オピオイドレセプター阻害剤を投与したのちストレスを負荷し、掻破行動あるいはAD発症に対する抑制効果についても検討する。その後、同様に脳および皮膚を採取しmRNA を分離する。さらに、CRF およびμ、κ-オピオイド受容体mRNA量をreal-time PCR法を用いて測定する。同時に血清中のコルチコステロン濃度を測定し、ストレス応答に対する反応を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き、マウスの購入、試薬の購入に用いる。
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