研究概要 |
研究計画に沿って、前年度までに確立したラット関節痛モデルと行動学的疼痛評価法を用いて平成24年度の研究を行った。研究内容として、関節内に分布する酸感知機構(ASIC1, ASIC3, TRPV1)に対するブロッカーを関節内注射し、疼痛抑制効果がみられるブロッカーの同定と適切な投与量、投与期間を検討した。結果、ASIC3ブロッカー(APETx2)が他のブロッカーと比べて疼痛抑制効果が高く、APETx2濃度2.5μg/kgで関節痛が完成する前の段階で先行投与する方法が最も優れていた。 本研究で得られた結果を元に、ASIC3を介した非炎症性疼痛モデルとして、酸の関節内繰り返し投与による長期間持続する酸惹起性慢性関節痛モデルを新たに作製した。 ヒアルロン酸を担体とするブロッカー注入法は、技術的に可能であったものの、行動学的疼痛評価において担体を利用する優位性を認めなかった。 ここまでの本研究の結果は、関節痛に対するASIC3をターゲットとした革新的治療法の基盤となる重要な意義をもつと考えている。
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