研究計画に沿って、前年度までに確立した関節痛モデルと酸感受性イオンチャネル(ASIC)ブロッカー治療モデルの2つのモデルラットを用いて平成25年度の研究を行った。 研究内容としては、逆行性トレーサーで標識した膝関節を支配する脊髄後根神経節(DRG)細胞におけるASIC発現率を免疫蛍光染色にて比較検討した。また、関節構成体の組織学変化も2群間で比較検討した。 本研究の結果、DRG細胞におけるASIC発現率は関節痛モデルで約2倍に増加するが、ASICブロッカーの関節内投与により有意に発現率が低下することが観察された。前年度までに、ASICブロッカーによる関節痛抑制効果が観察されたが、その一機序を説明しうる結果であった。さらに、ASICブロッカー投与により、関節痛モデルにおける関節破壊が抑制されることが観察され、ASICブロッカーは鎮痛と関節破壊抑制効果を併せ持つ理想的治療薬となりうる可能性が示唆された。
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