研究概要 |
本年は、最初に、GPR7と8にも注目して研究を進めた。GPR7と8の内因性の作動物質であるneuropeptide W30とneuropeptide Bを用いて検討した。これらの内因性作動物質をPAG、RVM、LCにステレオ手術の技術を用いて投与した。特に、PAGはneuropeptide Wが多く発現している部位である。痛みのモデルとしては、ホルマリンテストを用いた。 ホルマリン皮下注と同側のLCに投与するとホルマリンテストの第1相の反応を抑制した。RVMへの投与では、投与量依存性に第1相・第2相を抑制した。この効果は、ナロキソンにて拮抗された。 次に、26RFaをRVMへ選択的に投与して、ホルマリンテストでの効果を検討した。26RFaを5ug選択的にRVMへ投与すると、ホルマリンテストの第1相・第2相を抑制した。この効果はneuropeptide W30と異なり,ナロキソンにより拮抗されることはなかった。 このように、神経ペプチドにより鎮痛効果の発現機序は異なり、同じようにRVMに作用する神経ペプチドでもオピオイド受容体依存性の鎮痛を発揮する神経ペプチド(neuropeptide W30)とオピオイド受容体に依存しない鎮痛を発揮する神経ペプチド(26RFa)が存在することが分かった。
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